今年モデルとして新たなステージへと移った“はまじ”こと浜島直子さん。これまでの人生を振り返るとともに、新しい一歩を踏み出した今の率直な気持ちを伺ってきました!

浜島直子 1976年 北海道生まれ。18歳でデビューし、”はまじ”の愛称で親しまれる人気モデルに。ブログやInstagramで紹介される飾らないライフスタイルにも注目が集まる。モデルとして活動する一方で、TBS『暮らしのレシピ』ナビゲーター、bayfm『東京ガス Curious HAMAJI』MC、夫・アベカズヒロ氏とのユニット「阿部はまじ」で絵本の制作も行っており、多方面で活躍中。一児の母。


憧れのモデルにはなれたけど
ずっと“その他大勢”だった


「子どもの頃からモデルになりたくてなりたくてしょうがなかったんです。高校一年生のときには、雑誌『セブンティーン』の専属モデルオーディションに応募したんですがダメで……。でも諦めきれずにいたら、高校三年生のときに、地元札幌で開かれていた雑誌『mc Sister』のイベントでスカウトされたんです!! そのときはもう本当に嬉しくて嬉しくて。両親をなんとか説得して上京、モデルとしての仕事が始まりました。

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毎日がお祭りのように楽しくて。でも、楽しく仕事をしながらも、自分はメインのモデルじゃなくて、“その他大勢”なんだと気づいて。“メインのモデルの子は10カットあるのに、私は7カットだな”とコンテを見ては落ち込んだり。でも自分を卑下したり、羨ましいと思ってもしょうがない、コツコツやっていくしかモデルとして生き残る道はないと思って、どんな仕事も一生懸命頑張りました。おかげで、その後も『non-no』『MORE』『SEDA』など依頼される雑誌は増えていきました。それでも、その他大勢であることには変わりはなかったんですが(笑)」


テレビの仕事をはじめたのは
“仕事反抗期”がきっかけ


「モデルとしての仕事は順調ではあったんですが、始めてから数年が経ち“仕事反抗期”がやってきたんです(笑)。モデル以外の仕事もやってみたいと思うようになり、NHK『フランス語会話』に出演したのをきっかけに、TVの仕事も始めました。憧れていたTBS系『世界・ふしぎ発見!』のミステリーハンターのオーディションを受けて、その1週間後には海外ロケが決まりました。

風のない室内でも、自然にワンピースの裾をひらひらと揺らす、モデルのテクニックを披露してくれているところ。動画バージョンはmi-molletのInstagramで!

それから12年間続けさせてもらった中で、ターニングポイントになったのがペルーでのロケ。それまではディレクターさんの指示に従って話すだけだったんですが、そのロケの途中に洞窟の撮影があり、場所が狭かったためにカメラマンさんと私だけで入ることに。いつも指示を出してくれていたディレクターさんがいない状態になってしまったんです。

かなり焦りましたが、その前にロケしていた内容やクエスチョンのことを考えて、自分なりにレポートしたら、そのVTRを見たディレクターさんがとても褒めて下さって。そのときに“自分で考えて自分で発信するってなんて楽しいんだ!“と気づいたんです。それまでは、レポートしていても、自分が可愛く知的に見えるにはどうしたらいいかなんて外見のことばかり考えていました。でも、ペルーのロケをきっかけに、外見だけじゃなくてレポートの内容も自分でも考えて伝えるようにしたら、それまで以上に仕事が楽しくなっていきました」


自分で考えて発信することの
楽しさを知った“ミステリーハンター”

 

「ミステリーハンターで学んだ“自分で発信する”ということ、モデルの仕事でも生かされていきました。もともとしゃべることは好きだったので、撮影現場でもまわりと積極的にコミュニケーションをとって、自分の得意なことや趣味、気になっていることなどを伝えるようにしていたら、会話がきっかけで仕事につながったことも。

そうやってコツコツ続けていくうちに、20代後半辺りから、少しずつ仕事の内容が変わってきました。私服を特集してもらえたり、タイトルに私の名前が入るようになったり、巻頭のページに登場させてもらえたり。「あのときに、卑下したり悲観的になることなく、私は私のやり方で続けてきてよかった!」と実感しました。早くに挫折して、自分を客観的に見ることができたからこそ、今があると思っています。もし最初からメインモデルができていたら、きっと私は何も考えないままだったはず。

満面の笑みと、場を明るい雰囲気にする笑い声がとってもチャーミング!

でも、私としては、冷静にコツコツ仕事をしていたつもりだったんですが、周りはそうは思ってなかったみたいで(笑)。10代の頃から仕事でご一緒していていたカメラマンさんやヘアメイクさんと集まる機会があって。そのときに『はまじはいつも何かに腹を立てていた』と言われたんです! 自分ではそんなつもりもなかったんですが、大人たちには私の心の内がわかっていたんだなと思いました」


専属モデルの肩書きを外して
新たなステージへ

こんなふうに楽しいこと、嬉しいことを体中で表現できる人って素敵(笑)。スタッフ一同、一瞬で心掴まれました。

「10年続けてきた雑誌『LEE』の専属モデルからこの春“専属”という肩書を外していただきました。今年で43歳になるんですが、より素敵な50代を迎えるために、新しいところで仕事をするのもいいのかなと思ったんです。私は高校三年生のときにスカウトされてモデルになれたときからずっと夢が叶っている状態。だから大きな目標を立てて頑張るというより、今まで通り目の前のことを全力でコツコツ続けていくだけではあるんですが、縁や直感を大切にして、いろいろ挑戦したいと思っています」

撮影/目黒智子 ヘア&メイク/赤松絵利
取材・文/幸山梨奈 構成/川良咲子(編集部)