寝具メーカーが発表した世界の成功者たちの睡眠時間調査によると、7時間以上の睡眠を取っている人が多く、お金持ちはたっぷり寝ているという結果が得られています。
例えばマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、毎晩12時に寝て、7時間の睡眠を確保しているそうです。しかしこの生活パターンは、マイクロソフトのトップを引退し、資産管理と慈善事業を夫婦で行っている現在の睡眠時間です。
ゲイツ氏が現役時代に、本当のところ何時間睡眠だったのかは分かりませんが、かなり短かったと考えるのが妥当です。それは、それはマイクロソフトという会社の当時の社風を理解すれば容易に到達できる結論といってよいでしょう。
マイクロソフトは今でこそ、世界的な超優良企業ですが、以前は成長著しいベンチャー企業でした。その中でも同社は苛烈な社風で知られており、一時は、結婚して家庭を持つと昇進に影響すると、社内に半ば公言していた時期すらありました。つまり24時間働くのが当たり前の会社であり、実際、ゲイツ氏も社長室に寝泊まりしていたといわれています。
調査結果の中には米ヤフー元CEOのマリッサ・メイヤー氏の睡眠時間もありましたが、彼女は12時に寝て、4時に起きていますから4時間睡眠です。メイヤー氏は、グーグルの社員時代、昼でも深夜でも会社にいることで有名でしたから、これはうなずける結果です。しかしヤフーのトップを退き、資産家となった今は、もしかするとたっぷり睡眠を取っているかもしれません。
無理をしてでも高い地位を目指したい人と、仕事はほどほどに私生活を楽しみたい人とでは、人生における価値観がまったく異なりますから、両者のライフスタイルが違った形になるのも当然です。大事なことは、自分に合った生活パターンを選択できることでしょう。
その点においては、日本はまだまだ改善の余地があります。
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は米国人やフランス人、ドイツ人と比較して7~13%ほど短いという結果が得られており、同様に日本人は家族と過ごす時間も短いという特長が顕著です。長時間残業や長い通勤時間の影響で、睡眠時間や家族との時間が犠牲になっている可能性が高いとみてよいでしょう。
徹底的にキャリアを志向する人の睡眠時間が短いのは本人の選択ですが、こうした生活を望まない人たちの睡眠時間まで短いのはやはり問題です。本当の意味でのワークライフ・バランスというのは、単に残業時間を減らすことではなく、各人が望むライフスタイルを選択できるようにすることです。
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