『アラジン』の実写版が映画化され、シンガポールで観てきました。あまり書くとネタバレになってしまうので詳細は避けますが、アニメ版から現代風のオリジナル要素が加わっており、非常に楽しめました。

実写版『アラジン』の、こちらはアメリカ版ポスター。 写真:Everett Collection/アフロ

実は先週一週間、娘が手足口病にかかり、ほぼまるまる1週間、自宅で娘と過ごしていました。シンガポールでは治癒証明がでるまで登園禁止となり、あまりにもすることがないので、娘がはまっているディズニーのオリジナル版プリンセス映画を毎日1本くらいのペースで一緒に観ていました。

この数カ月で観たものも入れると、初期のものから順に、『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』『ムーラン』『プリンセスと魔法のキス』『塔の上のラプンツェル』『メリダとおそろしの森』『アナと雪の女王』……あたりを制覇しました。

 

『白雪姫』や『シンデレラ』、『眠れる森の美女』あたりは、王子様が惹かれるポイントが美貌だけに偏っているように感じられること、『リトル・マーメイド』あたりまでは王子様との結婚がゴールっぽいところが嫌で、以前はあまり娘に見せたくないなぁと思っていたのですが、プリンセスもやはり時代に応じて変わってきています。

『美女と野獣』のベルは読書好きで結婚で得られる幸せには関心がなさそうだし、『アラジン』のジャスミン姫は自分が賞品のように扱われることを拒否します。『ムーラン』のムーランに至っては男に扮して戦いますし、『プリンセスと魔法のキス』では典型的なお姫様願望をむしろ否定的に描いているように見えます。

『塔の上のラプンツェル』のラプンツェルはかなりお転婆で戦いもするし、王子様と結婚することによってお姫様になるのではなく、元々国王の娘であるヒロインが泥棒の男に惹かれていくという(アラジンもですが)むしろ男性側の「プリンスになれるかもストーリー」です。『アナ雪』はもう皆さんご存知の通り、男女の愛よりも姉妹の愛のほうが強く描かれています。

ジャスミンを演じたナオミ・スコットは、今作で一躍注目の的に。 写真:Everett Collection/アフロ

まぁここまで多様になってくると、プリンセスもの=美しさによって王子の心をとらえ、結婚という幸せを勝ち取るストーリー、とも言えなくなってくるので、娘にも色々なプリンセス像を見たうえで憧れてもらうなら結構かなと思うようになりました。

女性の活躍にはロールモデルが必要という言い方をよくしますが、ロールモデルが1種類だと、それはむしろステレオタイプになる。そこにも多様性が必要なのだと思います。

ディズニー映画の実写版が次々に公開されていますが、総じてアニメよりも現代風に女性が強く逞しく知性あふれて描かれる傾向があると思います。技術が可能にした実写だと思いますが、それをきっかけに古いものが解釈しなおされることは、プリンセスに憧れる女の子たちの夢をさらに広げてくれると思います。