貯蓄には「貯め期」がある


最後にもう一つ、大雑把な貯蓄目標を立てるための目安をご提案しましょう。

先ほどのモデルケースでは、22歳で就職し、65歳まで働き続けることを想定しました。仕事に就いている期間は43年間ということになります。

2000万は本当?老後を安心して暮らせる貯金額の目安をプロが解説_img0Photo by iStock

この43年間の中には、貯蓄しやすい「貯め期」と呼ばれる時期があります。

一般的に、子どもが生まれると、教育費と養育費で年間100万円くらい支出が増えます。そのため、子育て期に、独身時代と同じペースで貯蓄を続けるのは、かなり無理があります。

その点を考慮し、43年間働くとしても、その貯蓄のペースにメリハリをつけることが大事です。

 

まず、22歳で就職し、独身の時期や、まだ子どもが居ない共働き期間は経済的な条件が良いことが多く、人生の「貯め期」と言うことができます。この時期は、ちょっと頑張って、手取り収入の約30%を貯蓄に回せると理想的です。

次に、出産を経て、子育ての時期についてです。特に保育料がかさむ時期や、子どもが大学に通っている時期は教育費や仕送りなどの支出も増えるため、貯蓄に励むのは困難です。ですから、この時期は頑張り過ぎず、手取り収入の約5%程度を貯蓄に回せばよしとします。

子育て期の中でも子どもが小中学生の時期は、比較的稼ぎに出るなど時間のコントロールができる可能性も生まれるため、「ミドル貯め期」として手取り収入の約10%を目指せると良いですね。

子どもが独立し、まだ皆さんが働いている時期が、最後の「貯め期」です。リタイアする前の、ラストスパートと考え、再び収入の約30%を目標に、貯蓄にいそしめるチャンスがあります。


まずは自分が手に届きそうな目安を目標に


統計的なデータから「人並み」を目指す目標額、とにかく年30万円を貯めてみる方法、人生の「貯め期」を目安に手取りの一定割合を機械的に貯める方法と、大きく3つの目安をご紹介してきました。

まずは、自分が納得できる目安や、手が届きそうな目安を目標に、貯蓄習慣をスタートしてみることがおすすめです。

小さな金額を蓄えることが当たり前になると、後からそのスピードを加速することは、ゼロからイチをスタートするよりも、うんと取り組みやすくなります。自分にとっての「当たり前」のステージを少しずつ上げていけると良いですね。

文・構成/星飛雄馬

現代ビジネスの元の記事はこちら>>