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板谷由夏のおしゃれ哲学「20代の頃は女らしさと折り合いがつかなかった」

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ジャケット、スカート/シンメ(チェルシーフィルムズ) 靴/グッチ トップス・ピアス/ノーブランド

多感な時期、おしゃれへの好奇心を全開に、時代の真ん中にいたモデルへの憧れを募らせた。「モデル写真のアップを見ると、ときどき瞳の奥にカメラマンやスタイリストが映り込んでいて、『わぁー、こうやって撮影しているんだ』と、そちらに興味をひかれて。最初は、ファッションや雑誌に携わる、つまり、つくる側に行きたかったんです。でも、世はモデルブームだったから。その影響もあって、だんだん『モデルさん、格好いいな』と夢見るようになりました」 ほどなくティーン誌のモデルでデビューを果たしたことで、夢は現実のものとなる。その後は、モデル、さらには女優としてのキャリアを重ね、ときにキャスターの顔ものぞかせるなど活動の場を広げながら、私生活では伴侶を得て2児の母となった。さまざまな転機を経て、人生が豊かな広がりを見せた20代から30代、そして40代へ。時が流れようと、環境が変わろうと、トラッドへの愛着は揺らぐことがなかった。ぶれない人なのだ。

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ぶれないといえばもうひとつ、かつて抱いた「つくる側に行きたい」という夢もついえることはなかった。40代を目前に、板谷さんは自らがプロデュースするブランド「SINME(シンメ)」を立ち上げる。「私の仕事は、常に受け身です。お仕事をいただいて、台本があって、みなさんが用意してくださった場で、持てる力を発揮する。考えてみたら、自分がゼロから何かを生み出したことなどなかった。30代後半って、いろいろ悩む時期ですよね。私も子どもを産んでからずっと、何かしなければ! と悶々と悩んでいて。そうしたら、洋服づくりをやりたかったんだという、昔、思い描いた夢を思い出したんです」

ブランド名の「シンメ」とはすなわち「新芽」。人は、いくつになっても新しい芽を出せるのではないかという希望を託し、30代後半で新たな一歩を踏み出した自身を重ね合わせた。アイテムは必要最小限に絞る。まずはデニムとシャツからスタート。こんな思い切りのよさも板谷さんらしい。ずっと慣れ親しみ、知り尽くしたベーシックなアイテムだからこそ、新しい表現や冒険も可能となるのだろう。そして「ジーンズだから、シャツだからといって、決して男っぽく寄せたくはないの」と言うように、女らしいラインや着こなしにもこだわりをにじませる。

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