「お金持ちは、お金についてどんなふうに考えているの？どうつきあっているの？」というミモレ編集部の疑問から生まれたインタビュー企画。各界のお金のプロに「お金持ちのお金の価値観」についてじっくり伺っていきます。
今回は投資家・ファンドマネジャーの藤野英人さん。投資信託の「ひふみ」といえば、聞いたことがある方もいるのではないでしょうか？ その「ひふみ」を運用している会社の代表取締役社長である藤野さんに、マネーコラムニストの西山美紀と編集部員の片岡が話を伺いました。
＜今回お話を伺ったのは……＞
藤野英人さん
投資家、ファンドマネジャー。レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者（CIO）。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネジャーを歴任。2003年にレオス・キャピタルワークス株式会社を創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ」シリーズを運用。一般社団法人投資信託協会理事。著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』（星海社新書）、『お金を話そう。』（弘文堂）他多数。
投資をするのがこわい、という人はどうしたらいい？
――投資に興味があっても、「難しくてなかなか始められない」「損をするのは嫌だし……」という尻込みする声が多いですが、いかがでしょうか？
藤野英人さん（以下敬称略）：投資といっても、何もお金を投資することだけではなく、まずは「自己投資」が大切だと思います。そもそも「自己投資」をしない人は、株式投資なんてしませんから、人生で儲かることはないでしょう。
――どういうことでしょうか？
藤野：自己投資とは英語を勉強したり、自分の仕事を少し深く掘り下げてみたり、美容やファッションにお金をかけて美しさを保ったり、趣味を広げてみたりすること。投資というのは、私の定義で「未来のためにエネルギーを投入し、未来からお返しをもらうこと」なんです。お金だけに限らず、経験やワクワクした気持ちもお返しとして得られるのです。
お金の投資で一歩を踏み出せない人は、自己投資からはじめてみてください。
――まずは身近なところからワクワク感を体感するということですね。少し前に老後2000万円不足問題も話題になりました。「どのように準備したらいいかわからない」という人も多いですが……。
藤野：この問題は、「老後、受け取るのが公的年金だけだと、90歳まで夫婦で普通の生活をするには2000万足りなくなります」という話ですよね。では、お金が足りなければどうしたらいいか。本来、自分のお金のことだから、国や他人のせいにするのではなく、自立してしっかり考えておく必要があります。
僕は、老後資金の対処法としては、4つしかないと考えています。
１ 若いうちにじゃんじゃん稼いでおく。
２ 細く長く働く。パートや派遣でもいいので、ずっと働き続ける。正社員の場合は、65歳で退職したとしても、その後10年でも15年でも働くことができれば、貯金が少なくても食いつなげるからです。
３ 倹約する。じゃんじゃんお金を使ったら、誰でも生活が成り立ちませんから。
4 投資をする。
この4つを組み合わせて、老後2000万円不足問題と向き合いましょう。3の「倹約」については、日本人はわりと得意ですし、関連情報は巷に溢れていますね。1の「若いうちにじゃんじゃん稼ぐ」、というのはやっぱり限られた人になるかと思いますので、2の「細く長く働く」が誰にとっても、まずは大切になります。
ちなみに、前回お伝えしましたが、わざわざ嫌いな仕事を続けなくていい。好きな人たちと好きな仕事をすることが大事ですから。
嫌いな仕事でも、意識を変えたり、技能を磨いたり、転職したりすれば好きになるかもしれないので、工夫してみてください。
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