米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

男女の美しく妖艶な三角関係【米倉涼子のシネマコレクション】_img0
写真:Visual Press Agency/アフロ

女優たちが美しかった映画『危険な関係』。原作は18世紀後半のフランス貴族社会を背景にした小説ですが、何度か映画化されているこの作品を観たことがなかったんですね。
それもあって、1931年の上海に舞台を移したこの作品には、違和感なく入り込むことができました。裕福なプレイボーイと女性実業家、そしてふたりが仕かける恋愛ゲームの標的になってしまう貞淑な妻。3人をめぐる物語は華やかで切なくて、以前紹介した『アンナ・カレーニナ』のアジア版という雰囲気も。駆け引きをしてきた大人の男女が本当の愛を知る、時代が移っても変わることのない普遍的な物語が描かれています。

 

とにかく目を引きつけられるのが、チャン・ツィイーとセシリア・チャンの美しさ。衿の高いチャイナ・ドレスに身を包んでも絶対に二重あごにならないし(笑)、すらりとしたスタイルも抜群。正反対の魅力を感じさせるふたりを見ているだけでも、得した気分になれると思います。
久しぶりに見たチャン・ドンゴンも、すごく大人の男になっていてエロかった! ふたりと並んだときの背の高さやバランスもよくて、プレイボーイ役にふさわしい、ほどよく妖しい魅力を放っていました。

上海社交界の世界観を伝える、細部までこだわりが感じられる美術。そしてシルクの質感が伝わってくる衣裳など、贅沢にお金を使っていることがわかる映像も魅力的でしたね。
原作はフランスが舞台でも、韓国の監督と俳優、中国と香港の女優たちの才能がひとつに集まってできた、見事なアジア映画。休日に、大作ではなく何か一本観たい、そんなときにぴったりな作品だと思います。

『危険な関係』
1931年の上海。裕福なプレイボーイのイーファンと女性実業家のジユ。ふたりは貞淑な未亡人のフェンユーを賭けの対象にして……。『八月のクリスマス』の巨匠、ホ・ジノ監督のもとにアジアのスターが集結したラブストーリー。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2014年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。