他の子よりも言葉が遅い気がする、どうしたら身辺のことを自分でできるようになるのか……。子育てで抱える親の不安は数えればキリがありません。『発達障害の子どもたち』『発達障害のいま』などの著書を持ち、児童精神科医の第一人者として著名な杉山登志郎医師が、子育ての基本についてより分かりやすく書いた『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』 (講談社現代新書)。この本で杉山医師は、乳幼児期の発達と自立についても解説しています。

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子どもの言葉には、大きく発達する時期がある


どんな子育てがいいのか、ということがどの親も一番聞きたいことだろう。それには子供たちの“発達”というものを知る必要がある。

以下が「幼児の発達と要の課題」である。

●  赤ちゃんの言葉はどのように育っていくのか、どんな関わりをすれば良いのか
●  食事やトイレなどが自分でできるようになるコツとは
●  躾をするときの注意
●  健康な生活を送るコツは
●  子供の病気、事故を防ぐには

このうち、まずは言葉の発達について解説したい。
1歳頃の赤ちゃんは、最初に「ママ」とか「マンマ」といった言葉から発し始める。赤ちゃんの最初の言葉は世界共通で決まっていて、マ行、パ行、バ行である。ママ、パパ、バイバイなど。この音は、上下の唇を合わせてパッと離したときに出る。それゆえ大人の口の動きを見て真似しやすい音なのである。


次に、1歳半から2歳にかけて、2語文を発し始める。2語文とは「りんご ちょうだい」「まま だっこ」というような二つの単語でできた文章のことだ。この時期に、50語から100語くらいが使えるようになる。
そしてこの時期に、とても大切な言葉も出てくる。それは「なあに」だ。身の回りのもの、さらに一連の行動に名前があることが分かってきて、名前を知りたいと思うようになるからで、ここで子供の言葉は大きく発達する。

 その次に言葉が大きく飛躍するのが3〜4歳だ。この時期、子供たちは体験したことを言葉で話したり、気持ちや考えたことを言葉にし始めるのだ。行動や動作といった体の動きが、言葉の発達と関連していることははっきり分かっているのである。

 
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