雅子さまと美智子さま、二人のプリンセスを育てた名門・雙葉学園の教えとは?
美智子さまも教えた先生から個人レッスンを受ける
昭和46年(1971年)に、和田先生は小和田雅子さんと出会うことになります。
「私のところは、田園調布雙葉を受ける人は少なかったのですが、お母さまの優美子さんがどこからか私のことをお聞きになって、『ぜひ娘を教えてほしい』と頼んでこられたのです」
こうして、丸顔でおかっぱの女の子が週1回、母親に連れられて、和田先生のところに勉強に来るようになりました。8畳の和室で、和田先生と机を挟んだマンツーマンの個人レッスンです。
目上の人を尊重する、感謝の気持ちを持つ、人の気持ちになって考える、人のために何かをする……そんなことが学びの基本でした。
あるとき、学校の社会科の時間に、乗り物で働く人たちについての授業がありました。そこで和田先生は、雅子さんを連れて東京駅に見学に行ったのです。駅員の仕事、運転手の発車の合図、新幹線から小荷物室、寝台車に乗り込んでベッドを見せたりもしています。
「あまりおしゃべりしない無口なお嬢ちゃまでした。でも、人の話はよくお聞きになって、申し上げることはどんどん積極的になさっていました。アメリカから帰国されたばかりだというのに、書き順も含めて漢字がしっかり書けるので、『ご家庭できちんと勉強させているなぁ』という印象を持ちました」
と和田先生はおっしゃいます。
やがて、ほぼ一年近い個人レッスンが実を結び、昭和47年(1972年)4月、8歳の雅子さんは田園調布雙葉小学校の編入することになりました。
では、雅子さんが通った田園調布雙葉学園とは、どのような校風なのでしょうか。
名門私立雙葉学園の校風とは
雙葉学園は、現在でも屈指のお嬢さま校として知られています。カトリック系サン・モール修道会のミッション・スクールで、現在では「幼きイエスの会」の系列に入っています。東京・四谷にある雙葉学園が本家にあたり、田園調布雙葉、横浜雙葉、静岡雙葉、福岡雙葉も系列です。
雅子さまが通った田園調布雙葉学園は、昭和16年(1941年)に小学校、昭和27年(1952年)までに幼稚園、中学校、高校が設立され、現在の形に至っています。
「徳においては純真に、義務においては堅実に」
が、全国の雙葉系列校共通の校訓です。
かつて、雙葉学園のシスターは、今より厳格で、服装も顔のほかはどこも出さないカトリックの典型的な修道女スタイルでした。
学校の勉強を指導するシスターをマザーと呼び、給食を作るシスターをスールと呼ぶなど、フランスのパリに修道会の本部がある学校ならではの西欧の修道院教育の影響が色濃く出ているのが特徴でした。
当然、英語のほかに正課としてフランス語の授業があり、課外授業のフランス語は、日本語を全く話さないフランス人教師が時間をかけて、
「砂に水がしみこむように自然に」
教える教育だったといいます。
生活指導もきめ細かく、「寄り道禁止」「髪の毛は肩についたら三つ編みにする」「お言葉遣いを丁寧に」などと注意されました。
たとえば、縄跳びをしているときでも、「入れて」ではなく「お入れになって」と言い、「ごきげんよう」「おそれいります」「ごめんあそばせ」などと、ごく自然に丁寧な言葉遣いや物腰を身につけさせる教育です。
小さなころに受けた教育は、将来に大きく影響します。ご家庭での母・優美子さんのきちんとしたしつけと、雙葉学園の校風に育まれて、雅子さまと美智子さまという二人のすてきなプリンセスが誕生したのでしょう。
美智子さまから雅子さまへ 三部作1 美智子さまの想いが雅子さまへ 雅子妃誕生
価格 1500円(税抜)
外交官だった小和田雅子さんは、皇太子・浩宮さまに見初められて皇室に入ることに。雅子さまの生い立ちやから皇太子の熱い求愛、ご成婚までの軌跡が余すところなく盛り込まれた作品。雅子さまと同じく、平民から皇室に入られた美智子さまのお姿を交えて描きます。
美智子さまから雅子さまへ 三部作2 美智子さまもご祝福 雅子さまに愛子さま誕生
価格 1500円(税抜)
涙の流産を乗り越え、愛子さまをご出産された雅子さまの苦悩と喜びのすべてが一冊に。皇室という見知らぬ世界に入り、お子さまを生まなければならない重圧を、雅子さまはどのように乗り越えたのでしょうか。美智子さまから雅子さまに伝える母の想いを織り込みます。
美智子さまから雅子さまへ 三部作3 美智子さまもお支えに 雅子さまご成婚十年の苦悩
価格 1500円(税抜)
愛子さまをご出産されたのち、適応障害になり長期の療養生活を送られた雅子さま。ご成婚から10年を迎え、病と闘われているご様子に触れた作品です。雅子さまをやさしく包み込む、皇太子浩宮さまと美智子さまの愛に胸打たれます。
敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、
その当時のものを使用しています。
写真/渡邉みどり(クレジットのないもの)
構成/高木香織、片岡千晶(編集部)
この記事は2019年9月19日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。
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第2回「 雅子さまがロシア語を話せる理由〜モスクワでの幼少生活 」はこちら>>
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