累計2000万部を超える大ヒット漫画『宇宙兄弟』。
これまでに、映画化やアニメ化もされ、多くの世代に愛されている作品です。
『宇宙兄弟』(作:小山宙哉)
週刊誌『モーニング』で連載中の大ヒット漫画。幼い頃にあこがれた宇宙飛行士に、30歳を超えてから再挑戦する兄・六太(ムッタ)。そんな兄を信じて支える宇宙飛行士の弟・日々人(ヒビト)。宇宙開発の現場を舞台に、ムッタとヒビト、そして彼らをとりまく人々による熱い人間ドラマが話題をよび、爆発的な人気となった。
『宇宙兄弟』は、宇宙開発の最前線で夢を追う2人の兄弟を描いたストーリーですが、ここではその『宇宙兄弟』のリアル(実在)な現場の仕事人をご紹介します。
【宇宙飛行士マネージャー 中山美佳(なかやまみか)】
宇宙で、そして地上でも、数多くの業務を分刻みでこなす宇宙飛行士たち。
現在、日本の宇宙開発機構JAXAには、7人の宇宙飛行士が所属しています。
超多忙な彼らを支えるため、さまざまな調整やサポートを一手に引き受けているのが、宇宙飛行士マネージャーの中山美佳さんです。
文科省での事務職を経て宇宙飛行士マネージャーへ
現在の職業に就くまでは、文科省での事務職やビューティー業界の営業所長など、宇宙とはまったく違う分野で活躍していた中山さん。
しかし、もともと宇宙や星が好きだったことから、日本科学未来館のボランティアや、JAXA広報施設のスタッフなどにチャレンジ。そして、「自分の好きなもの」と「自分の得意なこと」を突き詰めた結果、とうとうJAXAへ就職することに!
入社後は、憧れの宇宙飛行士たちとデスクを並べて業務にあたる、宇宙飛行士マネージャーを担当することになりました。
いい結果を出せるかどうかは、すべて事前の調整次第
しかし、宇宙飛行士のマネージメントという仕事は、憧れだけでは務まりません。入社当初は試行錯誤の日々だったそう。
現在では、7人もいる宇宙飛行士のスケジュールをすべて把握・管理し、日々業務をこなしている中山さんですが、宇宙飛行士マネージャーには、直感力、調整力、応用力、コミュニケーション能力、フォロワーシップ、が必要だと語ります。
宇宙飛行士たちの個性を見極めながら、ときには飛行士の立場に立ち、ときには彼らの説得に回る。円滑に仕事を進めるには、どの担当者に何を確認し、どこに話を通せば良いのか? 案件をどう整理し、誰に相談をすれば良いのか? などの判断が常に必要だそう。
難しい業務をこなしていく中で、ベストな結果を出せるかどうかは、こういった事前の調整にかかっているのです。
また、コミュニケーションを大切にする中山さんは、「ただ頭で考えて戦略的にいくより、相手を大事にしながら誠実に事を進める方が、うまくコミュニケーションが取れるように思う」と語ります。
仕事とは世の中の役に立つ手段であり、自分を磨いてくれるもの
「仕事とは世の中の役に立つ手段であり、自分を磨いてくれるもの。」という中山さん。
日々の仕事では、「自分の役割とは何か?」を常に意識しているそう。
そして、これまで様々な経歴を歩んできたからこそ、
「このために、あのときの、あの経験が必要だったんだな。」
「あの経験があるから、今ここで生かせているんだな。」
と、感じることがあるそうです。
「今のJAXAでの経験も、いつか将来の『何か』のために経験してるんだと思っているので、今はしっかり仕事して、いろいろ見ておこうと思っています。」
中山さんは、憧れの現場で働きながらも、さらにその先をみすえ、笑顔で活躍を続けています。
どんな経験も将来の『何か』のために経験している 中山美佳
「心のノート」に刻みたい、深いイイ話が満載の『宇宙兄弟リアル』
ここでご紹介した中山さんをはじめ、宇宙飛行士やフライトディレクタなど、漫画キャラのモデルとなった「リアル(実在)」な仕事人を、日本の宇宙開発機関JAXA(ジャクサ)で探し出し、彼らの深いイイ話を紹介する本が発売中。
『宇宙兄弟リアル』 取材・文/岡田茂 協力/JAXA
試し読みをぜひチェック!
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『宇宙兄弟リアル』
取材・文/岡田茂 協力/JAXA 講談社
【内容】
・金井宣茂/元医師の宇宙飛行士(伊東せりか)
・佐孝大地・中村大地/フライトディレクタ(ビル・ハガード)
・中山美佳/宇宙飛行士マネージャー(小町ミチコ)
・木平清人/きぼう利用センター研究開発員(伊東凛平)
・樋口勝嗣/フライトサージャン(九条光利)
・上垣内茂樹/宇宙飛行士ユニット長(星加正)
・植松洋彦/JAXAチーフエンジニア(福田直人)
・油井亀美也/宇宙飛行士グループ長(ジェーソン・バトラー)
その他、ISS滞在中の金井宇宙飛行士との、ISS⇔地上インタビューも収録!
宇宙開発の現場で活躍する人々の、仕事への向かい方・考え方、今までどんな挫折があり、それをどう乗り越えたのか? 宇宙と地球に目を向けて生きる仕事人の、力強く壮大な人生観は、わたしたちの仕事と人生に活かせるヒントが詰まっています!
また、「宇宙兄弟リアル」なゲストを迎えて行うトークイベントが、宇宙をテーマにしたエンタテインメントミュージアムTeNQ(テンキュー)にて開催予定。(詳細は決まり次第こちらで発表されます) どうぞお楽しみに!
構成/北澤智子
著者プロフィール 岡田茂(おかだしげる)
東京生まれ、神奈川育ち。東京農業大学卒業後、農業とは無関係のIT関連の業界新聞社の記者・編集者を経て、現在も農業とは無関係の映像業界の仕事に従事。いつか何らかの形で農業に貢献したいと願っている。宇宙開発に関連した仕事では、児童書「宇宙がきみをまっている 若田光一」(汐文社)、インタビュー写真集「宇宙飛行 〜行ってみてわかったこと、伝えたいこと〜 若田光一」(日本実業出版社)、図鑑「大解明!!宇宙飛行士」全3巻(汐文社)、ビジネス書「一瞬で判断する力 若田光一」(日本実業出版社)、TV番組「情熱大陸 宇宙飛行士・若田光一」(MBS)、TV番組「宇宙世紀の日本人」(ヒストリーチャンネル)、TV番組「月面着陸40周年スペシャル〜アポロ計画、偉大なる1歩〜」(ヒストリーチャンネル)等がある。