“結婚”という形式を取らないメリット


同世代の友人知人を見ていると、独身でいる人は珍しくありません。2015年時点で、生涯未婚率は男性が約23%、女性が約14%。生涯未婚率とは、「50歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合」ですから(「50歳時未婚率」と名称変更するらしいです)、我々50代独身者は、「今までできなかったんだから、もう一生、結婚はしないでしょ?」と思われているということになる。

それは、半ば事実なのです。晩婚傾向、というか非婚傾向が強い学校に通っていた私の同級生達は、生涯未婚率の倍以上の割合で独身なのですが、50代の今、結婚にがっついている人は、既に見当たりません。

独身でも、お相手がいる人は、たくさんいるのです。私のように同居している人もいれば、親の介護があるので同居はできないけれど、交際しているという人も。また、交際相手は離れた場所に住んでいるということで、週末だけとか、月に半分といった割合で同居をしている人もいます。

50代独身で交際相手アリ、という人達に話を聞いても、その相手と結婚したいという感覚は持っていないケースがほとんどです。

「今から結婚したって、向こうもウチも親の介護があるし、あとは親が他界した時の相続問題とかも考えると、下手に結婚する方が面倒臭いじゃない? 今さら子供を作るわけでなし。それぞれが自分の親の面倒を見つつ、助けられるところは助け合うっていう感じだから、結婚する必要性は感じないのよねー」
 とか、
「相手はバツイチで、もう育ちあがっているとはいえ子供もいるから、結婚しちゃうと財産問題がややこしい。結婚しなくても、別に不便は感じないし……」
といった感じ。

50代ともなると、ウェディングドレスへの憧れもなければ、周囲に「私だって結婚できないわけではないのだ」と証明してみせたいという気持ちも霧散しています。子供を産み育てるために存在するような日本の結婚制度を利用する意味は無いわけで、単に男女が(のみならず、同性同士でもよいわけですが)人生を共にするだけであれば、国からお墨付きなどもらわない方が、「面倒」を減らすことができるのです。

周囲の人も、暖かく見守ってくれているようです。特に親御さんは、
「この子はずっと一人で生きるのかと思ったら不憫だったけれど、誰かいるならそれだけでも安心して私も死ねる。というより、今さら結婚などされてお相手と“親戚”になるなんていう面倒なことは、こちらも年老いているのだし、したくない。籍だけは入れないでほしいものだ」
などと言っています。

親や兄弟が他界した時、私もご近所さんや親戚から、
「でも、パートナーの方がいてくれてよかったわ。一人じゃ心配だもの……」
と、さんざ言われたものです。それを聞いて、「やっぱり独身者って心配されてるわけね」と思ったのですが、とにかく周囲の人としては、もはや中年の域からも出かかっている初老の女が一人でいるのは気がかりであり、誰でもいいから一緒にいてほしいと思っているようでした。

たまに、
「でもあなた達って、きちんと結婚していないわけでしょう?」
とサベツされる時もあります。が、それはなぜか、比較的結婚歴の浅い人に多いのでした。どんな集団であっても、後からそこに入った人の方がその集団らしさを濃厚に身につけるものですが、「既婚者」という集団においてもそれは同じなのでしょう。かえって、若いうちに結婚した結婚歴の長い人の方が、
「いいなぁ、結婚していないで相手はいるっていうのが、一番いいよねえ」
という感じなのです。

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後編は、男女で異なるお相手の年齢問題について考察します。

前回記事「「求められ続けたい」という幻想【性人生の晩年を生きる・後編】」はこちら>>

 
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