大人のマンガファンたちの間で、「読んだら本当にヤバイ…!」「入江ワールドの沼から抜け出せない」と言われ続けている、漫画家・入江喜和さん。前作、45歳のバツイチ女性を主人公にした前作『たそがれたかこ』(2013年連載スタート 全10巻)では、回を重ねるごとに注目度が集まっていき、ついに「このマンガがすごい!2018オンナ編」で第4位にランクイン、感動をさらって最終回となりました。そして今また講談社BE・LOVEで連載中の50代ヒロインマンガ『ゆりあ先生の赤い糸』が、これまたすごいのです!

 

以前、入江さんは、「40代主人公の次は50代ですよね!」とおっしゃっていましたが、このタフなゆりあ先生の人物設定が、また、わくわくさせるのです。

3歳年上の姉
蘭は
女くさい
女だった

とゆりあ先生が冒頭で独白しているように、彼女自身の性格は凛としていて、筋も通っていて、情はあるけれどサバサバした性格。損な役回りもあるけれど、後ろ暗いことはやらない!という堂々としたカッコイイ女性なのです。

でも…、実はそれポジティブな父親からの影響というか、ある意味呪縛でもあるんですね。読み進めていくうちに、女親からのわかりやすい毒親呪縛もあるけれど、実は、「弱音が吐けない」「自分が受けとめるという責任感が強すぎる」という意味では、「男らしい」男親からの呪縛、影響もあるんだなぁ。と思わずにはいられません。

こういう女性、同性からは支持されやすいだろうなと思います。男性からは、いい悪いは別にして「かあちゃん、頼むデ」と思わず頼りにしたくなっちゃうはず。(私もこんな伴侶や親がほしい! もう39歳ですけどね笑)
もう50代ですから、頼りにされる=需要が高い、使い倒されそうっていうふうにもとれますけど(笑)。

物語に変化が起こるのは、夫のクモ膜下出血。地味だけれど夫婦2人いっしょに穏無事で人生後半に突入と思いきや、夫は昏睡状態になり、挙句に同性の恋人がいた!という顛末。

「面倒をしょいこまされる」という表現が、またぴったりなゆりあ先生の状況なのです。このご時世、夫頼みの「あがり」の結婚生活は、もはやないだろうし、どちらかと言えば女性が積極的にひっぱっていくくらいの気概があったほうが、人生の荒波を乗り越えやすそうだなぁ。

読みながら、ゆりあ先生につい送ってしまう励ましやエールは、自分自身にむけられた感情のようにも思います。

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Profile 入江喜和
漫画家。1989年に「週刊モーニング」(講談社)にて『杯気分!肴姫』でデビュー。代表作に『のんちゃんのり弁』『昭和の男』『おかめ日和』『たそがれたかこ』など。現在、「BE・LOVE」(講談社)にて『ゆりあ先生の赤い糸』を連載中、待望の4巻が発売されたばかり! 夫は漫画家の新井英樹さん。

 

『ゆりあ先生の赤い糸(1)』

著者 入江喜和 講談社

かつて姉の影響でバレエをやっていた伊沢ゆりあ50歳。現在は手芸教室の先生として地味ながらも幸せに暮らしている。そんなある日、物書きの旦那が渋谷のホテルで昏倒し、救急車で緊急搬送される。病院に駆けつけるとそこにいたのは旦那と見知らぬ美青年。診断はクモ膜下出血。緊急手術をし一命は取り留めたが、旦那はいっこうに目覚めない。そして後日、病院で再開した美青年の口から語られたのは信じがたい話で……。

作者・入江喜和さんのインタビュー『50代がのめり込める“少女マンガ”を描きたい』はこちらから!

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文/藤本容子