米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。
遠くから美しいシャトーに寄っていくカメラワークに一気に引き込まれたドキュメンタリー『世界一美しいボルドーの秘密』。ワインをめぐる作品ですが、ワインの味やワイン造りに関するドキュメンタリーではないところが新鮮でした。5大シャトーのワインが値上がりした背景には中国の富裕層の買い占めがあったことを解説してくれて、世界の経済情勢もお勉強できる仕組み。
どの年のブドウの出来がよかったのかということも、すっきりとグラフで表示してくれます。ワイン通の人のうんちくを聞くのはうんざりしてしまうけれど、こういう分かりやすい説明なら大歓迎です(笑)。
衝撃的だったのは、ワイン収集家の中国のお金持ちのひとりが「大人のおもちゃ」の工場主だったこと! おそらくは日本の男性たちも購入しているであろう色とりどりの製品の映像まで出てきて、高級ワインの世界との隔たりに一瞬クラッとしてしまいました(笑)。
著名なワイン評論家のロバート・パーカーも登場して、ワインの適正価格について解説をしています。ワインに興味がある人はもちろん、経済や事業に興味がある人にもおすすめです。
私は“ワインと経済”の世界を観たあと、“ワインと恋”を描いた大好きな映画『サイドウェイ』を久しぶりに観返したくなりました。
このページは、女性誌「FRaU」(2014年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。
『世界一美しいボルドーの秘密』
富の象徴としてのボルドーワインとグローバル経済との結びつきに迫ったドキュメンタリー。ワイナリーを所有するフランシス・F・コッポラ監督らも出演。ラッセル・クロウがナレーションをつとめている。