米倉涼子さんが見た、最新のおすすめエンタメ情報をお届けします。

『ANNA/アナ』 ©2020 SUMMIT ENTERTAINMENT,LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画館も少しずつ再開しはじめたこのタイミングで紹介したいのは、スクリーンで観たい迫力たっぷりのアクション映画! しかも美しくて強い女性が活躍する『ANNA/アナ』をおすすめしたいと思います。
監督は『ニキータ』などを手がけてきたリュック・ベッソン。
監督が主演に抜擢したサッシャ・ルスはモデルとして活躍してきたというだけに、スタイル抜群。凛々しい表情も長い手足も、これまで監督の作品でヒロインを務めてきた女優たちとの共通点といえそうです。

 

モスクワでマトリョーシカを売っていた大学生のアナが、モデルとしてスカウトされてパリへ。人気モデルになった彼女は事務所の経営者と交際を始め、華やかな毎日を送るようになります。
彼の裏の顔が武器商人だと暴いた瞬間に銃を向けたアナの正体は、ソ連の諜報組織KGBが育て上げた殺し屋! 次々とミッションをこなすうちにCIAの罠にはめられた彼女は、二重スパイになるという試練に立ち向かいます。

 

国から国へと舞台を移し、時間軸を前後させながらロシアでの貧しかった過去のドラマも描かれていますが、全体的にはシリアスになり過ぎない軽さのあるタッチ。それがリュック・ベッソン監督の持ち味なんだろうな、と思います。
アナの職業がモデル兼スパイなので、コスチュームやヘアメイクがバラエティに富んでいて楽しい! 髪型もウィッグでコロコロ変わるのですが、ボブのシーンを観ながら、監督、『レオン』の頃からずっとこの髪型が一番好きでしょ!? なんてことを思ってしまいました(笑)。

 

サッシャのすごいところは、全編にわたって本格的なアクションを披露しているところ。KGBのスパイとしてふさわしいかどうか、「レストランにいるマフィアのボスから5分で携帯を奪う」というテストを課されるのですが、このシーンが凄まじいんです。
上官から渡された銃には何と弾が入っていなくて、アナは近くにあるお皿やフォークを使って戦うことに。次々とたくましい男たちをなぎ倒していく彼女の無駄のない動きは必見です。強すぎて安心しちゃうところもあるのですが、頑張れ〜! と応援しながら見守りました(笑)。

『ニキータ』にエンターテイメント性を加えてアップデート、タランティーノ監督の『キル・ビル』を思い起こさせるところも。かっこよくておしゃれなヒロインアクションを存分に楽しんでくださいね。
 

 

『ANNA/アナ』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開中

ソ連の諜報機関で最強の殺し屋として生きるアナ。ファッションモデルやコールガールなど複数の顔を持つ彼女の使命は、国家にとって危険な人物を葬ること。明晰な頭脳とトップクラスの身体能力で、一流の暗殺者へと進化を遂げる。そんな中、アメリカCIAの罠にかかったアナは、捜査官からCIAに寝返れという取引を迫られるが……。二重スパイという最大の試練、やがて世界の命運を握る2大組織の脅威へと化していく──。

監督・脚本・製作:リュック・ベッソン  製作:マーク・シュミューガー
出演:サッシャ・ルス、ルーク・エヴァンス、キリアン・マーフィ、ヘレン・ミレン、アレクサンドル・ペトロフ、レラ・アボヴァ
2019年|フランス・アメリカ|カラー|スコープサイズ|5.1ch|1時間59分|日本語字幕:佐藤恵子|PG12|原題:ANNA
配給:キノフィルムズ/木下グループ
©2020 SUMMIT ENTERTAINMENT,LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

取材・文/細谷美香
構成/片岡千晶(編集部)