「新シリーズの台本を読んでみたら何だか口がうまくまわらない、なぜだろう? 『シカゴ』があったから英語のセリフの方が楽になったのかな?」と思ったら、去年は大門未知子を演じていなかったんですね(笑)。
普段も「大門未知子だ!」と呼んでもらうことが増え、私にとって本当に大切な作品『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』が2年ぶりに放送されます。
顔合わせのときに集まったスタッフは知っている方たちばかりで、この安心感たるや、と思ったと同時に本読みではプレッシャーも感じました。やっぱりすごい俳優さんたちが揃っている作品だな、私も気合いを入れ直さないとな、って改めて思ったんですよね。
シリーズを重ねてきたからこその楽しさももちろんあって、未知子が晶さんを父親のように思っているように、私自身も(岸部)一徳さんを家族だと思っています。西田(敏行)さんとお芝居しているとお芝居しているのか遊んでいるのか、わからなくなってくることも(笑)。それは一緒にシリーズを重ねてきた私たちにしかわからない境地なのだと思います。
シリーズ初参加の市村正親さんは最初の方のセリフがほとんどポルトガル語なのに、違和感がないのがすごい。「私が勉強しているスペイン語だったらよかったのに!」とちょっと思いながらも、ポルトガル語を話している市村さんとお芝居でしっかり意思疎通ができるように頑張っています。
ユースケ・サンタマリアさんは隣でいろいろなことについてコメントをしていて、にぎやかだなって(笑)。一話目のゲストの松坂慶子さんはとても柔らかい雰囲気の可愛らしい方で、ご一緒しているとまるで映画を見ているような幸せな気持ちになりました。
実は本読みのときにみなさんが面白すぎて、私の役ってつまらないのかもしれないと思ったくらいだったんです(笑)。私も笑わせられるようにやらなきゃいけないのかな、なんてことを思いつつ、でもやっぱり未知子が変わらずに一本道を進んでいく姿勢は保ちたいな、と。
そういう意味では意外と我慢の役、そして目の前でみなさんのエンターテイメントを一番楽しませてもらっている役かもしれません。
去年のドラマ『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』では動いて弾けてエネルギー消費が未知子の10倍くらいある役を演じたので、そのギャップに最初は慣れないところもありましたが、白衣を着てしまえば大丈夫。
未知子のすごさは、オペの技術はもちろん、自分が今何をやるべきかがわかっていて、誰にも引っ張られずに一本筋が通っているところ。患者さんによって症状や病気は違いますが、どんなときも準備を怠らず「私、失敗しないので」と言えるパーソナリティでいたいですね。未知子を演じて7年、最初の頃の「いたしません」は自信も覇気も欠けていてちょっと弱いな、と今となっては思います(笑)。
先日の記者会見でもお話ししましたが、今年、自分自身が病院に通うことが多かったので、ひとつ実感したことがあるんです。それは医療の世界でもAI化が切り離せない時代になっているけれど、心を通した会話は機械にはできないということ。
私はアナログ人間だから、余計にそう感じますね(笑)。“機械あっての人間”ではなく、“人間あっての機械”だと思っています。
未知子は自分を飾らず忖度せずに、人生を謳歌している理想的な人でもあります。
未知子の髪型は今までと同じようなスタイルですが、前下がりのボブでちょっとだけ新しい感じかもしれないですね。ファッションも基本的にはこれまでと大きくは変わりませんが、少し大人っぽくなっているかな。
注目ポイントとしては、神原名医紹介所が新しくなっているので、ぜひそこも楽しみにしていてください(笑)。
取材・文/細谷美香
<ドラマ紹介>
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」
米倉涼子演じるフリーランスの天才外科医・大門未知子が待望の復活! 2017年に放送された第5シリーズのラストでは、未知子が後腹膜肉腫で余命3カ月と診断されたものの、しかしそこから奇跡の生還を遂げ、キューバで元気に過ごしている姿も。そんな未知子がついに日本に帰国します。
権威世代と次世代のバランス、コンピューターやAIとの共存など多くの問題が時代の波となって押し寄せる中、かつてないほどの大赤字に見舞われている「東帝大学病院」が舞台。倒産寸前の病院を立て直すべくやってきたのが投資家のニコラス丹下(市村正親)です。
“医療の合理化”を迫られ、リストラやコストカットという現実に、医療現場はビジネス最優先、ますます政治と権力争いの場へ……。丹下に呼ばれて「東帝大学病院」にやってきた大門未知子の新たな戦いがスタートします!
10月17日〜毎週木曜・夜9時放送
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