ただ、ツヤって大人がほどよく足そうと思うと意外と難しい。

ギラギラ、キラキラ、テカテカといった類のツヤと似て非なる光沢は肌でも服でも、身に纏うと全体の印象がまるごとチープに見えがちで、よっぽどのアイテムじゃない限り大人の顔とはミスマッチ。

無理に足したようなものより、自然に近いツヤがやっぱり品よく知的に見える。

だから今の私世代なら、肌や髪はまず元気を保つ努力。

そして服も、これ見よがしの光沢より、肌や髪のように光が当たると内から感じる潤いの延長のような奥ゆかしいツヤが理想。

そんなツヤを追い求めると、どうしても高価な生地にたどり着いてしまう。
(大人のための服が高いのはここにも理由があった!)

不動の首位は極上のツヤ代表、プレミアムなカシミヤのかすかに感じさせる光沢感。
だけど、もっとツヤを感じたいなら、真っ先に思い浮かぶ生地はやっぱりシルクだ。

じゃあツヤが最大限欲しいときにはシルク100%の生地を纏えばなんでもうまくいくのかといえば、選び次第ではテカテカと光りすぎて学芸会の衣装のように感じさせるものもあって一概にそうとも言えない。

身に纏うなら、真新しいシルクが綺麗に光るより、ヴィンテージ風の加工を施したものやシルク混、くらいの鈍い光沢の方が好きだと感じることの方が私は多い。

ただこの塩梅がかなり難しくて、色々と見比べるくらいじゃないと絶妙なものが選べる自信がないな、なんて手に入れるのを躊躇していたら、とてもいいタイミングで最高のトレンドがやってきた。

そう、シルクやサテンの服が豊富な今年は、街を歩いてウインドウショッピングするだけで一度にたくさんの”ツヤ”をこの目で見られるとてもありがたい年。

しかもどんなものも煌めかせる太陽の強い光が降り注ぐ夏とは違って、本来の光沢を見極められる秋冬は、ツヤの審美眼を鍛えるのにもってこいの季節。

さらにはほっこり危険度の高い分厚いニットを着たくなる冬なら、それだけでは叶えにくいリッチ感や女らしさ、女性としてのあがる気持ちをツヤ服の投入でいとも簡単に引き出してくれるはず。

その奥深さに、すっかりツヤのある服の虜となっている今の私。

もっと上手に操れる力を磨いて歳を重ねたい。

だって絶妙なツヤを感じさせる女性は、真のリッチさと審美眼をもった素敵な大人だと感じるから。

さて、貴女はどんなツヤが好きですか?意識的に取り入れている服のディテールはありますか?

大人に必要なツヤとは? この秋、“装いのツヤ活”始めました_img0

マットなカジュアル素材を纏いがちな日常着にこそ1アイテムのツヤ感。コットンやウールでも、マットすぎるより少しツヤのあるアイテムが生地をリッチにみせ、纏う大人を素敵に底上げしてくれる気がします。そして、ちょっとスペシャルな日は、ツヤツヤしすぎない調整力も身に付けたいところです。写真は今シーズン手に入れたツヤアイテムたち。シルクやサテン、ヴェルヴェットなどを楽しんでいます。

前回記事「【白澤貴子さん一問一答】フランス留学先より皆さまのご質問に答えます」はこちら>>

 
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