日本の“フィギュアスケート発祥の地”とも言われる仙台で生まれ育った羽生結弦選手。世界を舞台に活躍する羽生選手が、しばし「ほっとできる」場所、それが地元・仙台だといいます。2018年の平昌五輪フィギュアスケート男子で金メダルを獲得し、五輪2連覇を果たした際は「地元の方々に感謝の気持ちを伝えたい」と仙台でパレードを開催、東二番町通りには地元の人々をはじめ、ファン10万人が訪れ、ともに偉業を祝福しました。そんな出身地と相思相愛の関係を続ける羽生選手は、自身が観光アンバサダーを務める仙台市が今年発行したガイドブック「仙台巡り」に登場し、仙台愛を語っています。 


「僕にとって仙台は『帰るべき場所』」

 
 

仙台市観光ガイドブック「仙台巡り」より

こちらのガイドブックの写真は、羽生選手が仙台のリンクで滑っていた幼少期からずっと撮り続けている写真家・能登 直(のとすなお)さんによるもの。地元・仙台で撮影されたポートレートは、氷上の凜とした横顔とは違う、まさにリラックスした素顔が満載。10万部発行した無料のガイドブックは、仙台市内をメインに配付されるということもあり、地元市民だけでなく、入手を楽しみに訪れたファンの方も多かったとか。

 

実際、今回のガイドブックを制作した仙台市のほうでも、反響の手応えを感じているそう。「市内75カ所のホテルや旅館で配付したのですが、朝早くから並んで手に入れてくださったり、誌面に掲載している羽生選手ゆかりの地を実際にまわりましたという声も伺いました。羽生選手がきっかけで仙台を好きになってくださる方も増えています。なかには中国など海外からもガイドブックを目当てに来てくださったファンの方もいました」(仙台市文化観光局観光課・川口さん)


今回ガイドブックのなかから、羽生選手ゆかりの仙台をご紹介します。


【羽生選手と仙台①】フィギュアスケート発祥の地と羽生選手を育んだアイスリンク

日本フィギュアスケート発祥の地とされる五色沼は、都心部を流れる広瀬川を渡ってすぐ。かつて冬になると氷が張り、明治23年頃からは外国人らがスケートリンクとして利用していたそうです。仙台市博物館のすぐ近くにあります。

 

かつて荒川静香さんや羽生選手が練習していた「アイスリンク仙台」。2017年にリニューアルしてからは、選手育成の場としてだけでなく、ビギナーでもスケートに触れ、楽しめる場として開かれています。また、施設内には荒川静香さんと羽生選手を記念するギャラリーも併設され、当時の練習風景の写真を見ることも可能です。


【羽生選手と仙台②】国民栄誉賞の授賞式ではオリジナルの仙台平を身につけて

江戸中期仙台藩の御用織物として始まったと伝えられる最高級の絹織物。現在は「合資会社仙台平」だけで作られている。現在の4代目当主・甲田綏郎(こうだよしお)氏は、重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定されている。写真©アフロ

2018年の7月2日、国民栄誉賞の授賞式に「仙台平」を身につけて臨んだ羽生選手。この時の袴は人間国宝の甲田氏が、羽生選手のために糸の組み合わせを考え、独自に織り上げた作品でした。ガイドブック内では甲田氏と対談し「その精緻な美しさと無駄のなさは、演技にも通じるものがあると思います」と語っています。仙台平の細く柔らかく、けれどしっかりとしたハリのある糸、美しい光沢とすべるような滑らかな生地は、羽生選手の演技と通じる美しさが感じられます。

「地元のファンの方々は、羽生選手のことを誇りに思うと同時に、暖かくそっと見守り応援する空気があります。そんなところも羽生選手が地元をくつろげる場所だと感じる理由なのかもしれません」(仙台市文化観光局観光課・川口さん)。「仙台巡り」では他にも、幼少期によく訪れ、震災時は市街が停電のなか満点の星空を眺めたという思い出の七北田公園や羽生選手のモニュメントが置かれている国際センター駅など、ゆかりの場所がたくさん掲載されています。10月1日からは仙台市内のホテル、旅館での配付を行っているほか、WEBサイトでも電子版をみることが可能です。仙台の歴史やグルメなども満載のガイドブックを手に、ぜひ一度、仙台を訪れてみてはいかがでしょうか。
 

 

『仙台市観光ガイドブック 仙台巡り』


仙台市が発行する観光ガイドブック。羽生選手が地元仙台への想いを語り話題に。10月1日からは仙台市内の旅館、ホテル等で宿泊者に1部ずつ無料配布中。またこちらのガイドブックの電子版はWEBサイトで閲覧可能。

「仙台巡り」公式サイト https://www.sendai-meguri.jp/