筆者は、「サービスの利用者は事業者に対して要求してはいけない」「もっと謙虚になるべきだ」という最近の風潮はあまり好きではありません。もちろんクレーマーになってはいけませんが、消費者は事業者に対して、いろいろと要求をしてもよいと思っていますし、事業者も可能な限りこれに応える必要があると思っています(利用者からの過大な要求が過重労働につながっているとの意見もありますが、要求が過大だと判断された場合、それをキッパリ断るのもサービス提供者に必要とされる能力です)。

使った人は絶賛。アマゾン「置き配」は日本でも定着するか_img0
 

しかしながら、配達員にむやみに再配達の手間をかけさせてしまうことは、消費者云々以前の問題として、純粋に人付き合いの問題として避けたいと思っており、筆者は可能な限り、再配達が発生しないよう工夫してきました。しかし置き配であれば、基本的にその心配がいりませんし、何より、自身の時間管理が一気にラクになります。あくまで個人的な感想ですが、ネットでの一般的な見解と同様、置き配は「あまりにも便利すぎる」というのが正直なところです。

 

置き配が嫌いな人は、それを選択しなければよいだけの話ですから問題はありませんが、悩ましいのは、置き配に興味はあるが、いろいろな事情で実施が難しいという人でしょう。世の中には、何としても置き配を実現するためいろいろと工夫している人がいますから、こうした人たちの取り組みは、すべてではありませんが参考になります。

たとえば盗難が気になる地域に住んでいるケースでは、ボックスを自身で用意し、カギが開いた状態の南京錠を置いておき、配達員に対して「荷物を入れたらカギをしてください」とメモを残している人もいます。また規約上、廊下に荷物をおけなかったり、メーターボックスがないマンションでも、管理組合と交渉して、窓の下やドアノブに袋をぶら下げることを許可してもらった人もいるそうです。

このあたりは、自身がどのくらいの大きさの荷物を注文するのか、家やマンションの作りがどうなっているのかなど、それぞれだと思いますが、置き配に適していない状況でも、工夫次第で何とかなる可能性もありますから、最初からダメだとは決めつけない方がよいでしょう。

もっとも、置き配がさらに普及してくれば、荷物の盗難など様々なトラブルの発生が予想され、場合によっては事業者に対して批判が集中することも考えられます。しばらくは試行錯誤という状況が続くことになるでしょう。

この記事は2019年11月16日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。

 

前回記事「日本から「職場のムダ」がなくならない理由」はこちら>>

 
  • 1
  • 2