11月23日から26日まで、ローマ教皇フランシスコが日本に滞在していました。長崎、広島、東京と駆け足で訪問されたこの4日間、多くの人とふれ合い、やさしい言葉をかけ、たくさんの心にともし火をともしてくださいました。平和への訴え、被災者へのいたわり、出会った人々を両腕で抱くようにして語りかける姿が心に残ります。
今回は、教皇のこれまでの講話から「人間関係をよくする言葉」を選んでご紹介します。

撮影=JMPA 講談社

教皇フランシスコ
第266代ローマ教皇。1936年、アルゼンチンのブエノスアイレス生まれ、本名ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ。初めてのラテンアメリカ出身で、初めてのイエズス会員の教皇。アルゼンチンで同会の管区長、神学院長などを務めた後、ブエノスアイレス大司教となり、2013年3月に行われたコンクラーベ(教皇選挙)において、教皇に選出される。

 

自分で何でもできるとは考えずに、
自分には助けと愛とゆるしが
必要であると考えることです

(2015年3月18日 サンピエトロ広場にて)

11月25日、来日したローマ教皇フランシスコは、東日本大震災の被災者の集いに出席しました。そこには、避難先でいじめにあった福島出身の男子高校生鴨下全生(まつき)さんの姿もありました。2011年の原発事故のあと、避難先の小学校で同級生からばい菌扱いされて生きているのがつらくなるほどだったといいます。
救いを求めて教皇に手紙を送ると、2019年3月にバチカンで教皇との面会が実現したのです。11月25日の被災者の集いで、二人は再会しました。教皇から「覚えていますか。また会えましたね」と肩を抱かれ、鴨下さんは思わず涙がこぼれたといいます。教皇は、集いの講話のなかで「この集いが被災者にとって多くの助けになりますように」と話されました。

教皇フランシスコは、こう語っています。
「小さな子どもたちがわたしたち皆にまず思い出させてくれるのは、わたしたちも幼いころには自分以外の人の世話と好意に頼り切っていたということです。御子(イエス)も同様にその時期を過ごしました。わたしたちは降誕祭(クリスマス)のたびに、この神秘を思い巡らします。
……そうです、わたしたちは皆、助けと愛とゆるしを必要としています」

 
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