青い鳥なんてどこにもいない。「つまみ食い」と「チューニング」のススメ

 

「あんなに大変な思いをしたくない」「現状に満足しているわけじゃないけど、かといって働き方を変えるのは不安」と思ってしまうのは、自分より少し上の世代の女性に「ロールモデル」がいないからなのでしょうか?

 


「先日、とある大学に呼ばれて大学生の前で話をする機会がありました。その時、みんな青い鳥を探しすぎ。みんなの憧れを体現する人なんていないから、ロールモデルを見つけるのはやめましょうという話をしたんです」

年齢や立場は人によって異なるもの。なのに、いるはずもない完璧なロールモデルを探すだけ無駄だから、はじめからいないと思ったほうがいいという浜田さん。そこで、“パッチワーク”を作ることを提案しています。

「つまみ食いするような感覚で、いいとこ取りをすればいいんです。この人のこのやり方はいい、あの人のここが好き、という感じで、とりあえずは真似て取り入れてみてはいかがでしょうか」

とはいえ、実際にやってみたけど違ったということもあるはず。「そんな時は“チューニング”すればいいだけの話」と浜田さん。

「みんな失敗したくないし、一発で成功したがるところがあるけど、一度やってみて合わなかったら“チューニング”するんです。職場を変えてもいいし、旦那だって変えてもいい。人生そんなに予定通りにいかないから、『こうあるべき』と思わずに、想定外を楽しみつつ、チューニングしていく方が、よりハッピーになれるんじゃないでしょうか」

いろんな“罪悪感”を抱えながら生きている、現代の女性たち。50歳で転職し、ネットメディアという新たなフィールドでいきいきと活躍する浜田さんもまた、“チューニング”の真っ最中なのかもしれません。

 
 

『働く女子と罪悪感 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる』

浜田 敬子 著 集英社 ¥1300(税別)

夜討ち朝駆けで常に眠く、男性ばかりの記者クラブで肩身の狭い思いをした新人記者時代。かねてから希望していたAERA編集部に異動後、多くの働く女性を取材し続けてきて、女性であるがゆえの苦労に考えさせられる日々。その後女性初のAERA編集長に就任し、その肩書に戸惑いつつ、管理職の面白さに目覚めるように。一方で結婚、出産、子育ても経験。ニュースの現場が大好きで、50歳でウェブメディアに転職した今も一線で活躍する著者が、後進の女性たちに伝えたいことが詰まった一冊。

撮影/浜村達也(講談社)
取材・文/吉川明子
構成/大森葉子
(この記事は2019年1月31日に掲載されたものです)
 
  • 1
  • 2