セレブのファッションから、大人の女性が素敵に輝く着こなしのルールを学ぶ、短期集中連載。第6回は、イタリアの宝石と言われる女優、モニカ・ベルッチにフォーカス。女神のようにグラマーなボディの彼女の、肌を露出しないのにセクシーに見える、ドラマティックな着こなしの秘密に迫ります。


モニカ流「肌の見せどき」と「見せない色香」

映画「マレーナ」で初めてモニカを観た時の衝撃。
それは、「こんなに美しい顔にヴィーナスのような完璧なグラマラスボディを持つ女性が、世の中に存在するんだ…!」というものでした。

モニカって、顔もボディも、構築的。彫刻のように美しい凹凸を持っているんですよね。そんな凹凸を引き立てるのが、ドルチェ&ガッバーナをはじめとする、女性のカーブを最大限美しく見せるカッティングのイタリアンデザイナーの服。

 

これは少し前の2015年の写真なのですが、お分かりになりますでしょうか。

モニカは、肌を一切露出することなくとも彼女の肉体の美しさを表現する、エレガントなドレス選びに長けた女性なのであります。

 

こんな美形のモニカだけれど、弁護士を目指していた若い頃は、その美しさが妬まれる原因となり、邪魔だったというモニカ。「美しさはフェラーリみたいなもの。あなたはそれを乗りこなす術を覚える必要があるわ」と語っていたけれど、ドレス選びでも、美しすぎるが故に、「能ある鷹は爪を隠す」とでも言うべく、あえてその肢体を見せることを封印するようなドレスを選んでいるかのよう。

羨ましいのは、その肌を「秘す」ことで、彼女の香り立つような色香がさらに際立っているということ。

その傾向は年々高まり、55歳でアラ環世代となった現在では、選ぶ服は9割が黒。黒で肌見せはナシという、いわば禁欲的とも言える着こなしが、黒髪のモニカのミステリアスな美しさとセクシーさをかえって煽るという結果に。

それはひとつには、彼女が映画などであの官能的なボディを惜しむことなく披露して、私たちが彼女のヌードを知っているからというのもあるかもしれませんが…。つまりモニカは、肌の「見せどき」を効果的に計算しているのかも。

だけどチラリとのぞくデコルテは常につやつやで、女としての現役感がすごい。夫だったヴァンサン・カッセル監督との離婚後、18歳年下のアーティスト男性を夢中にさせているのにも頷けます。何より、レッドカーペットのフォトセッションで、彼女に群がる男性パパラッチ陣の鼻の下の伸びきった嬉しそうな表情(笑)。あれを見れば、50代の今も、モニカのフェロモンと「吸引力」は健在なのだなとわかります。

40歳で第一子、45歳で第二子を出産し、50歳にしてボンドガールを演じたモニカ。若い頃は「外見だけ」と評価されがちだった彼女がキャリアやプライベートで自信をつけ、自分らしい美しさを開花させて成熟した、素敵な女性に成長していく様は、私たちにエイジングへの希望をもたらしてくれますよね。

シンプルなコートこそマダムの貫禄で着こなす

 

ボルドーのベルテッドコートは胸元の開きも小さく、足元だってロングブーツで肌を露出していないのに、この匂い立つような色っぽさ。これはウエストをベルトでマークしたデザインと、ストレッチ素材のブーツで「出るとこは出てくびれるとこはくびれてる」砂時計ボディのメリハリを強調しているから。このさりげないアピールの仕方に、イタリアン・マダムの貫禄を感じます。

黒のパンツスタイルはとことんカーヴィに

 

カンヌ国際映画祭にて。このヒップの丸み…! 元々弁護士を目指す傍ら、学費を稼ぐためにモデルとして活動していたモニカは身長171cmの長身でスタイルも抜群。グラマーなのに手足は細くてすらりとしているという、羨ましいカーヴィボディの持ち主。黒のパンツスタイルも、こんなにグラマラスに着こなせてしまうのがすごい。

マニッシュなパンツスーツは潔く

 

現在の恋人、ニコラス・ヘレヴとレッドカーペットに登場。白のテーラードスーツが、モニカのメリハリボディの美しさを際立たせています。実は直線的なテーラリングこそ、大人の女性の体の曲線を綺麗に見せてくれるんですよね。

 
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