公共交通機関でのベビーカー利用について、8割の人が畳まずに乗車することに賛成していることが国土交通省の調査で分かりました。公共交通機関でのベビーカー利用については、賛否両論の激しい論争になっているというイメージがありましたが、実際にはほとんどの人が常識的な価値観を持っていたわけです。

 

公共交通機関のベビーカー利用に対しては、一部から激しい批判が出ており、「ベビーカー論争」などと呼ばれてきました。実際、ベビーカーで乗車したところ、他の乗客から罵声を浴びせられたという声がネットで拡散するとこともしばしばです。

近年、他人に対する寛容性が失われているとの指摘が増えていますが、それでも、子どもが社会の宝であると考える人が少数派になったとは思えません。本当に日本人がベビーカーを敵視しているのか疑問を感じた人も多かったはずです。

その意味で、今回の調査結果は、日本人のモラルや社会常識について少し安心感を与えてくれる内容でした。

国土交通省が昨年、行った調査によると、ベビーカーを畳まずに乗車することについて、賛成と答えたのは40.7%、どちらかというと賛成と答えたのは41.9%で、合計で82.6%でした。特に若年層で賛成と答える比率が高く、10代から20代では90%を超えていました。一方、反対もしくは、どちらかといえば反対というのは合計17.4%で、全体からすると少数派ということになります。

同省は2016年にも同様のアンケート調査を行っていますが、やはり、約7割が「迷惑ではない」と回答しており、今回と近い結果が得られています。一連の調査結果を見ると、賛否両論となっているのではなく、大半の人が賛成しており、一部の人だけが激しく反対しているという図式の方が現実に近いでしょう。

確かにごく一部のベビーカー利用者は、人混みの中に無理に進もうとするなどマナー違反をしているかもしれませんが、それはベビーカーに限った話ではなく、そのような人が存在したからといって、ベビーカーがいけないという話にはなりません。

では、なぜ多くの人が、ベビーカーを伴った乗車に寛容であるにもかかわらず、賛否両論となっているかのような印象が生じてしまうのでしょうか。それは、日本特有のネット環境と、一部の人の行動様式に原因がありそうです。

 
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