新年、あけましておめでとうございます。2020年が始まりました。いかがお過ごしでしょうか。ミモレの川端です。本年もどうぞよろしくお願いいたします!

さて、山ちゃんの「アート本ベスト3」に続きまして、バタやんのベストブックの発表を。まずはフィクション・単行本編です。

第5位は、早見和真さんの愛すべきエンタメ作品『店長がバカすぎて

店長がバカすぎて』ってすごいタイトルですよね。各章は「小説家がバカすぎて」「営業がバカすぎて」・・・などと続きます。マジ、辞めてやる!と何度もなる主人公の京子さんに共感するばかり。

 昨年はお仕事小説やドラマが注目されやすい年でしたね。
わたし、定時で帰ります。』や『これは経費で落ちません!』などなど。医療関係や弁護士、校閲、銀行員といった専門職だけではなく、事務職、総務系の職種がフィーチャーされたのも、働き方改革の影響でしょうか。タイトルが女の人の心の叫び調なところも似てますね。

数年前までと違って「女性社員vs.男性社員」「ハケンvs.社員」というわかりやすい対立構造ではなく、様々な雇用形態や様々なモチベーションで関わる人があたり前になりつつあり、職場の人間関係も複雑化しているんですよね。

『店長がバカすぎて』で描かれるのは書店員さんのお仕事。主人公はとにかく本が好きで武蔵野書店・吉祥寺本店の契約社員として働く谷原京子(28歳・独身)。意識高い系だが“非敏腕”な店長や面倒なお客に振り回される日々。唯一のモチベーションの一つだった尊敬していた女の先輩から「書店の仕事をやめる」と告白されて……。

書店員さんのお仕事の重労働さは想像に難くないですが、イベントやサイン会の企画・運営、フェアの選書、それぞれの本も読まないといけないですし、ポップを書いたり、時には推薦文やあとがきを執筆することも。いったいいつ寝てるんだ!という過酷さです。イベントに登壇する人のジャンルも様々。作家さんだけじゃなく、アイドルだったり、料理家だったり、政治家だったり。ものすごく幅広い仕事をこなしているのに、契約社員のため時給998円の京子さん。

そういえば、子供のころ、お正月も本屋さんだけはあいていて、お年玉でもらったピン札を握り締めて本屋へ行くのが楽しみでした。本屋さんって休みも少ないですよね。

書店員さんのお仕事の舞台裏が知れるおもしろさもありつつ、おそらくどの会社にある普遍的な“不合理さ”=謎の朝礼、厄介な取引先、本社からの理不尽な指令、困ったちゃんなアルバイト……などなど。そのイライラわかるぅ〜〜〜!!と膝をペチペチ打ちながら読む場面多数。

早見和真さんは『イノセント・デイズ』のシリアスさとはまるで別人格のよう。『イノセント・デイズ』は重くて重くて、読後もズーンとしばらく立ち上がれないくらいでした。


※『イノセント・デイズ』は2017年のベストブック文庫編に選んでいますのでぜひこちらもチェックしてください>>

『店長が〜』の帯にある「ラストの驚愕のサプライズ」は、私、早い段階でわかっちゃったんですが、皆さんもそうかも。どうでしょう。どうみてもそうなんですよ。でもわかったからと言って面白さが損なわれるわけじゃないです。

さて、どんどんいきましょうか!

第4位は、タイトルに何度も救われた、山内マリコさんの『あたしたちよくやってる

「女性と年齢、結婚、ファッション、女ともだち」などをテーマにしたエッセイとごく短い小説をミックスにしたアンソロジーです。以前に編集部ブログでもご紹介したので詳しくはぜひこちらで>>

司会やモデルのようなことを引き受けたとき、
会社からの無茶な目標設定に四苦八苦しているとき、
男社会の大きな会議で発言を求められたとき、
思いがけない御近所トラブルの仲裁を任されたとき(マンション組合の理事長だったりするので)、
後輩や取引先に苦言やクレームを言わなくてはいけないとき、

……そういう得意じゃないことをまっとうしないといけないときに、私はよく

「あたしたちよくやってる」

というこのタイトルが頭をよぎります。

うまくやりこなせたかどうかは、うーん、そうとも言えないことも多いけれど、でも

「あたしたちよくやってる」

とつぶやけば、モヤモヤのシャボン玉が弾けたみたいにスーッと気持ちが楽になるのです。

何度も読み返したりはしないけれど、そうやって、一つの小説や本のタイトルに何度も助けられることがあります。

もうひとつ、よく頭の中でつぶやく本のタイトルは、津村記久子さんの『やりたいことは二度寝だけ』。

週末、ややプレッシャーのかかるイベントや撮影で早起きしないといけないときや、気の重い会議やマンションの会合に向かわないといけないとき……(本当にマンション組合って大変ですよね・汗)

「やりたいことは二度寝だけ」「やりたいことは二度寝だけ」とつぶやきながら(二度寝はせずに)起き上がり、そそくさと身支度をするのです。

こちらは自分を鼓舞するというよりは、肩の力を抜く、魔法のことばでしょうか。

津村記久子さんの『やりたいことは二度寝だけ』のほかにも、『この世にたやすい仕事はない』や『アレグリアとは仕事ができない』などもすごく面白いお仕事小説なので、ぜひ読んでみてください。

続いて第3位の発表です!

 
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