年末年始、移動の飛行機の中で立て続けに、上間陽子さんの『裸足で逃げる―沖縄の夜の街の少女たち』、知念渉さんの『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー―ヤンキーの生活世界を描き出す』、坂爪 真吾 さんの『性風俗シングルマザー―地方都市における女性と子どもの貧困』の3冊の本を読みました。
上間陽子さんの『裸足で逃げる』は、中学時代のご自身と同級生との経験をベースに、研究者・調査者として故郷の沖縄に戻り、そこで少女たちに寄り添った4年間の記録をまとめたものです。そこで描かれる少女たちの置かれた環境は、男性側が責任を放棄した妊娠や暴力に溢れています。
それでも4年を追っていくと上間さん自身が彼女たちのことを気にかけ続けていることもあり、また看護師や友人、教師、家族のうち誰かの支えがあるというケースも多く、どこか救いを感じさせる本でもありました。
だからといって問題が解決しているわけでも現状を肯定できるわけではないものの、この本は研究者としての分析や政策的含意を敢えて避けているようにも見えます。もはやサポート当事者として少女たちと関わるなかでのやりとり、上間さんの見てきた彼女たちをそのままに書くという体裁だからこそ訴えるものがあるのだと感じました。
知念渉さんの『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー』でも、数年に及ぶ信頼関係構築のもとに大阪でヤンキーと呼ばれる少年たちの生活実態をありのままに描こうとした姿勢が見られます。
この本では、学校生活で彼らが自分たちと他者との境界を引いていく様相が描かれます。しかし同じカテゴリーに思えた「ヤンチャな子ら」の中でも、就労していく場面では、家族や親族のネットワークで職を得ていく者と場当たり的に転々とせざるを得ない者に分かれてしまうという「亀裂」も語られます。上間さんの本で、沖縄の少女たちが何かしら居場所をみつけていく先というのもやはりネットワーク、社会資本と呼べるかもしれません。
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