マネーコラムニストの西山美紀です。

「ポイント疲れ」「コスパ疲れ」に陥っていませんか?

「ポイントをたくさん貯めよう」「コスパのいい方法」「できるだけ安く買う」といったマネー記事は最近非常に多いもの。

とにかく節約、とにかく安いお店で、とにかくポイントやクーポンでお得に!と、せかされている気分になることはないでしょうか。
 

 

お得を優先するかどうかは、自分自身で判断していい


もちろん、安く買える方法があるのに、それを知らずに何もかも割高で払っていたらもったいないこと。お金には限りがあるので、できるだけ欲しいものを手に入れるために、割安な方法で買うというのは賢い行動ですよね。

でも、本来の「欲しいものを手に入れる」ことを後回しにして、「あらゆるものを安く買うこと」を目的にしてしまうと危険です。安いお店を探し、クーポンを探し、ポイントを貯まる方法を考えと、あれこれ手間や労力をかけていたら、大切な時間や、頭のメモリーがどんどん失われていってしまいます。

限りあるお金だけでなく、限りある時間まで失っているかもしれません。

世の中にたくさんあるマネー情報にふりまわされ、疲弊していないか、一度立ち止まって考えてみる必要があります。本来、買い物は楽しいもののはずなのに、ポイント疲れやコスパ疲れが続いていると、もったいないと思うからです。
 

価値を感じるお店は、クーポンサイトをあえて使わない手も


少し前に、美容業の倒産件数が急増しているというニュースが話題になりました。

さまざまな要因の一つに、クーポンやポイントなどによる激安競争にさらされているお店が多いからなのではと危惧しています。

もちろん、大切なお金を払ってイマイチなお店にあたってしまっては残念なので、最初はお試し価格で利用するのはありでしょう。でも、多くの人が値段の安さばかりを追い求めてしまうと、高い価値を提供しているお店が淘汰される恐れがあります。

私はもう10年ほど通っている、お気に入りの美容院があります。クセがあって量が多い髪の毛をいつもなんとかしてもらえて、本当に助かっています。

クーポンサイトからも予約できますが、あえてお店のサイトから予約しています。クーポンなどで割引にならなくても、ポイントがつかなくても、十分な価値を感じるから。

自分が思う適切な金額を支払うことで、その美容院が、ずっといいサービスのまま続いてほしいという願いからでもあります。

以前、たまに通っていたイタリアンのお店が、少しずつサービスが落ちていきました。それと同じくして、割引クーポンを大量に出すようになりました。ついにある日、つぶれてしまったのです。

大切なお店、価値を感じるお店、適切な金額を支払いたいと思っているお店こそ、クーポンサイトなどを利用しないということも、一つの選択肢かもしれません。

かなり安く買えるということは、もちろん企業努力があるとしても、従業員のお給料や品質を下げることにもつながるでしょう。

自分が従業員として働く場合、会社から適切なお給料をいただきたいと思うもの。お客側として、適切な金額を支払うことで、品質が守られ、従業員も守られ、結果的にいいサービスや商品がどんどん生まれていくのではないでしょうか。
 

買い物も自分の「投資先」として考えてみる


もちろん、楽しみながらクーポンサイトやポイントなどを利用することは、それをお店が出しているという以上、まったく問題ないと思います。楽しい生活というのは、何よりのことですから。

時には安く買う方法を探すけれど、時にはそこまで神経をとがらせず、少々割高かもしれないけれど、好きなものを適切な金額で手に入れる。

大好きな商品やサービスを自分の「投資先」として考えて、投資したいお店には、しっかり投資する。

そうやってバランスを取りながら、自分なりに、我が家なりに、最終的に家計のつじつまがあえば、それでいいのではと思っています。

さて、あなたはどのように考えますか?
 

文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)


 

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