日本ではデフレが続いており、給料は安いが、物価も安いので暮らしやすいと喧伝されてきましたが、それは事実ではありません。確かに日本国内の事情だけで価格が決まる商品やサービスについては、20年以上にわたる不景気とそれに伴うデフレのせいで価格が安くなっています。
しかし、私たちが消費するモノやサービスの多くは、輸入によって成り立っていることも多く、こうしたモノやサービスの価格はグローバルな価格動向の影響を受けてしまいます。
ディズニーランドはオリエンタルランドという日本の会社が運営していますが、ディズニー本社からライセンスを受けていますから、内外価格差をすべて無視するわけにはいきません。またテーマパークの運営に必要となるコストの中には、グローバルな市場動向の影響を受けるものもあるでしょう。したがって日本人の賃金が安いからといって、破格の値段を提示することは難しいのです。
自動車の販売価格もまったく同じことです。自動車は完全にグローバル産業ですから、日本メーカーといっても生産したクルマの多くは海外で販売されており、自動車価格は国内事情とは無関係に決まります。トヨタの1台あたりの平均販売価格は過去20年で1.4倍に値上がりしており、平均的な所得の人では、クルマを買うことはかなり難しいレベルになってきました。
不動産価格も同様です。大都市の不動産については、著しく安い国があった場合、海外から投資資金が流入して値上がりしますから、国際価格の影響を大きく受けます。首都圏のマンション平均価格はデフレなどお構いなしの状況で、過去7年で1500万円も上昇しており、6000万円になろうとしています。
輸出入やお金の移動がある以上、鎖国でもしない限り、海外の市場動向とは無縁ではいられません。デフレといっても、それは給料が上がらず、国際的に価格が決まる商品やサービスについては割高になるということですから、基本的によいことはありません。
デフレが発生している最大の理由は日本経済が成長できていないことですから、経済成長を実現しないことには、こうした状況から脱却するのは難しいのです。
前回記事「コンビニが24時間営業をやめられないホントの理由」はこちら>>
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