私たちは人生100年時代の「自分らしい人生」を、どうデザインしていけばいいのでしょう?
多様な生き方・働き方を実現する女性専門の人材エージェントWaris(ワリス)共同代表の田中美和さんが、転職や再就職、独立などの「ライフシフト」を経験した女性たちのリアルストーリーを通じて、人生100年時代を生き抜くキャリアのヒントをお届けしていきます。
 ※文中の氏名は仮名です。

夫の死をきっかけに再出発。40代で大企業管理職を辞めた女性が手に入れたもの_img0
 

「本当に仕事が好きで好きで仕方なかったんですよ」と会社員時代を振り返る50代の加奈子さん。現在はフリーランスで週3日ほど働くほか、NPO法人のボランティアスタッフとしても活動しています。大手企業の管理職として忙しい毎日を送っていた加奈子さんが会社を辞めたのは40代半ばのころ。それには3つほど理由があったといいます。

 


「もう少し家族と向き合う時間がとりたかったんです」。これが一つ目の理由。

加奈子さんは大学卒業後、2社を経て大手おもちゃメーカーへ入社。女性管理職としてキャリアを積み上げてきました。

「出産後もすぐに働きたくて、育児休暇は取りませんでした。保育園に預けるのはもちろんのこと、新幹線で実家の母に来てもらったり、ベビーシッターさんやファミリーサポート制度などあらゆる方法を活用して、仕事優先の生活を送ってきました。月のシッター代が10万円になることもめずらしくありませんでした」

ハードな生活も、そこまでつらいとも思わなかったそう。
そんな加奈子さんにとって転機になったのは、現在の夫との再婚でした。

「前夫を病で亡くして、しばらくはシングルマザーとして子育てをしていたのですが、再婚することになりまして……。新しい家族を作っていくのがおもいのほか大変だったんですよね。そのなかで、これまでと同じ働き方は続けられないと」

2つめのきっかけは、「これが本当に私のやりたかったことだったのだろうか?」と、自分の仕事に疑問を抱くようになってしまったことだったと言います。

加奈子さんは自身が父子家庭で育ったこともあり、「子どもの幸せにビジネスを通じて貢献したい」と、新卒時から一貫して子どもに関する事業を展開する会社で働いてきました。

「そういう想いがあっておもちゃメーカーに入社して10年以上在籍したわけですけれど、やはりメーカーなので。管理職になってより幅広い商品群を担当したときに、純粋に『子どものために』だけでは難しいわけです。例えばゲームや漫画などのコンテンツ自体が好きだったり、オタクカルチャーへの理解だったり、エンターテインメントのターゲットって必ずしも大人だけに限らないんです。そこに、次第に違和感を持つようになっていきました」


「会社員である以上どの部署にいくかわかりません」。40代に入って子会社へ転籍なども経験するうち、「この会社でこの先もずっとやっていくの?」という疑問がわいてきたそうです。

そして3つ目の理由は「前の夫の死」でした。

 
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