1989年に創刊、休刊となる2007年までの間に圧倒的なファッション哲学で多くのファンに愛された女性誌「ヴァンテーヌ」。今もなお新鮮に響くヴァンテーヌのおしゃれ哲学が、もし2020年に甦ったとしたら‥? 特集のラストは「新・マニッシュ」を取り上げます。当時と現在、約30年の時を経て「マニッシュ」の定義はどう変わったのか…? 大草ディレクター流の着こなし提案をご紹介します。
「~~なのに~~」。
相反する魅力を引き出す、マニッシュ新解釈
「当時「ヴァンテーヌ」で提案していた“新・マニッシュ”は、メンズライクな要素を積極的に取り入れることで、安易な女っぽさではなく、深みのある華やかさや毅然とした女らしさを引き立てるという提案でした。
本来は男性のアイテムだったもの、そのオーセンティックな凛々しさを上手に着こなしに効かせて、女性の持つ二面性ーー柔らかで凛々しい、優美でいてセクシー、といった要素を表現する着こなしだったのです。
年齢を重ねた今、わたしたちはさらに表情豊かになってきています。キリッとしているのに、ドジで可愛らしい一面があったり、清潔感があるのにツヤっぽかったり…そんな、一筋縄ではいかない多様な奥行きをうまく表現してくれるのが、2020年流の“新・マニッシュ”です。マニッシュなアイテムを取り入れることが日常的になってきたわたしたちの着こなしには、デザインの新しさ、アイテムの組み合わせや色使いに、新しい解釈を取り入れて。
昔も今も、どこかマスキュリンで媚びない姿勢が、カジュアルをより洗練させてくれると感じています」(大草さん)
決して媚びることなく、ただ単純な女らしさとも違う”ほんとうの女らしさを考える”というテーマで、多くの特集が組まれました。「ヴァンテーヌ」1992年5月号©ハースト婦人画報社
2020年版“新・マニッシュ”①
リネンとシルク。
異素材で、美しい二面性に光を当てて
ジャケット¥72000/チノ(デミルクス ビームス 新宿) ワンピース¥76000/カオス(カオス新宿) バッグ¥36000/レスピロ(ヴェルメイユ パー イエナ 青山店) フラットシューズ¥22000/ファビオ ルスコーニ(ファビオ ルスコーニ ジェイアール名古屋タカシマヤ店) ピアス¥22000/モダン ウィーヴィング、バングル〈太〉¥63000(ともにエスケーパーズオンライン) バングル〈細〉¥18000/アダワットトゥアレグ
女らしい服より“女らしく”見える服
「リネン素材のメンズライクなジャケットに合わせたのは、光沢のあるシルクのワンピース。異なる素材感の掛け合わせは、“新・マニッシュ”の新しい法則のひとつです。日灼けした肌に似合いそうなざっくりとしたリネンに、なめらかで艶っぽいシルク。コントラストの強い素材同士を掛け合わせることで、ジャケットスタイルに奥行きが生まれます。
もしこれがリネン×カシミヤでは素材感にあまり差が生まれません。あえて風合いが全く違うシルクを合わせるのがポイント。ジャケットを着ているとマニッシュな印象だけれど、ジャケットを脱ぐと女っぽい、そんな表情のレイヤードも楽しんで」(大草さん)
2020年版“新・マニッシュ”②
昼と夜、オンとオフ。
異なる時間軸をコーディネート
ブルゾン¥39000※EC限定/ウィム ガゼット(ウィム ガゼット 青山店) ブラウス¥25000/エキップモン(サザビーリーグ) パンツ¥25000/パロマ ウール(RHC ロンハーマン) バッグ¥25000/ジャンニ ノタロ(マルティニーク ルコントルミネ有楽町店) ミュール¥29000/ペリーコ サニー(アマン) 時計¥1180000/IWC バングル¥175000/カラットアー(イセタンサローネ 東京ミッドタウン) リング¥210000/マリハ(マリハ 伊勢丹新宿店)
時空を超える。その軽やかさを着こなしに映して
「乗馬用のウェアをタウン仕様にした、カジュアルなフィールドコートは、休日のデイタイムのイメージ。そこに夜のシーンでも着られるシルクのドレッシーなシャツを。
昼と夜ーーこの時間軸の異なるアイテムを組み合わせることで、デイリーウエアに新鮮な表情が加わります。ボトムは、デニムパンツを合わせたくなるところですが、時間軸の違いが見えてこないのでここでは封印。鮮やかなパープルのパンツで、より都会的な雰囲気に。手元にはメンズライクなビッグフェイスの腕時計、さらに白のエレガントな型押しのバッグを。小物での二面性も重ねていくことで、コーディネートにより深みが出ます」(大草さん)
“新・マニッシュ”の新定義、いかがでしたでしょうか。異素材の組み合わせや時間軸の違いを考える、という理論的で「頭を使う」おしゃれは、まさにヴァンテーヌならでは。トレンドに流されない知性のある着こなしは、当時も今もハッとさせられること間違いありません。4回にわたってお届けした大草ディレクターによる「2020年流・ヴァンテーヌ的おしゃれ」、ぜひご自身の着こなしにそのエッセンスを取り入れていただけたら嬉しいです。
いまミモレを読んでいる
かつてヴァンテーヌ読者だったみなさまにー
記憶に残る「ヴァンテーヌ」の記事はなんですか?
全4回の特集をお読みいただき、ありがとうございました。今回の記事を読んで、当時のことを懐かしく振り返られた方も多いかもしれません。ぜひ、今回の企画の感想や、あなたの「ヴァンテーヌ」の思い出、また記憶に残っている企画、今度こんなことが見たい!などなどー。よろしければ下記コメント欄に感想をお寄せください。
皆様からのコメント、お待ちしております。
スタイリング/大草直子
ヘア/EIJI SATO(シグノ)
メイク/YUKI KOMORI
モデル/田沢美亜
取材・文/出原杏子
構成/朏亜希子(編集部)
【お問い合わせ先】
IWC tel. 0120-05-1868
RHC ロンハーマン tel. 045-319-6700
アダワットトゥアレグ tel. 050-5218-3859
アマン(ペリーコ サニー) tel. 03-6418-5889
イセタンサローネ 東京ミッドタウン
ウィム ガゼット 青山店 tel. 03-5778-4311
ヴェルメイユ パー イエナ 青山店 tel. 03-6419-9086
エスケーパーズオンライン tel. 03-5464-9945
カオス新宿 tel. 03-6274-8221
サザビーリーグ tel. 03-5412-1937
デミルクス ビームス 新宿 tel. 03-5339-9070
ファビオ ルスコーニ ジェイアール名古屋タカシマヤ店 tel. 052-566-3686
マリハ 伊勢丹新宿店 tel. 03-6457-7128
マルティニーク ルコントルミネ有楽町店 tel. 03-5222-1758
・第1回「雑誌「ヴァンテーヌ」がもし、2020年にあったなら?【大草直子】」はこちら>>
・第2回「 【大草直子のヴァンテーヌ考】2020年の“甘辛バランス”とは? 」はこちら>>
・第3回「【伝説の雑誌ヴァンテーヌを紐解く】2020年流 “迫力のあるおしゃれ”とは?」はこちら>>
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