皇后・雅子さまが流された2度の涙の理由と伝えるべきメッセージ
天皇陛下の即位にともない皇后となられた雅子さま。2019年5月の天皇陛下の即位以来挙行された、即位に伴う一連の諸行事すべてをこなされました。ご結婚から25年あまりの間、流産や適応障害などさまざまなおつらいことがありました。それらを乗り越え、皇后としての立派な立ち振る舞いに多くの国民は共感を覚えたことでしょう。
そんな雅子さまは、どのような方なのでしょうか?皇室担当26年という、毎日新聞記者の大久保和夫さんが語る素顔の雅子さまとは?
大久保和夫(おおくぼ・かずお) 毎日新聞社会部に在籍し、宮内庁を中心に、皇宮警察をはじめとする皇室関連の取材を26年続けている。皇室を通して日本と日本人について考えることを大きなテーマにしながら、70歳を過ぎても現役記者として活動している。
即位礼は一世一代の大イベント
「即位礼正殿の儀」を終え、退出される雅子さま。「即位礼正殿の儀」は、多くの賓客が見守る中、午後1時から宮殿の正殿・松の間で行われました。写真/宮内庁提供
かつては御大礼、御大典といわれていた即位礼は、国家的儀式として行われました。令和の御大礼とそれと一体となっている祭祀の大嘗祭(だいじょうさい)も、多くの国民注視のもとで挙行されたのです。それは天皇皇后両陛下にとっては長く、ハードな日程でした。
「10月に行われた即位礼正殿の儀と11月の大嘗宮の儀は、天皇にとって一生に一度の重要な行事。昔、即位礼や大嘗祭をやらないまま天皇になった人は半帝(はんてい)といわれたほど、皇室にとって大事な儀式なのです。
皇室では天皇が第一ですから、本来皇后は出なくてもいいのです。しかし、天皇と皇后が二人揃って行うのが今風の皇室のあり方だという認識をお二人も国民も持っていますから、雅子さまも何とかしなければという相当な覚悟を持って臨まれたのでしょう。
正直言うと、私も雅子さまがどこまでやれるか心配したのですが、幸いすべての行事をきちっと滞りなくすませることができたことに逆に驚きました」
即位礼正殿の儀は、平安絵巻さながらの装束で天皇が高御座(たかみくら)に、雅子さまは御帳台(みちょうだい)に上がられ、天皇陛下が即位を内外に宣言しました。その古式ゆかしく美しい儀式の模様は、全世界に報道されたのです。
「大嘗宮の儀」で、皇后が拝礼する場所である帳殿(ちょうでん)に向かわれる雅子さま。純白の十二単に身を包み、髪を大垂髪(おすべらかし)に結われ、薄明りのなかをゆっくりと進まれます。写真/宮内庁提供
「即位礼正殿の儀の時、私は宮殿・松の間ののぞき窓と呼ばれる取材者席から見ていました。世界各国の記者も取材し、まさに一世一代の大イベントです。雅子さまも大変緊張されたご様子でした。
ほぼ徹夜で行われる大嘗宮の儀も私も取材しましたが、雅子さまは十二単(じゅうにひとえ)と同じような純白の御祭服(ごさいふく)を着て翌朝の3時ごろまで儀式に臨まれました。体力的に相当しんどかったと思います。
しかも、神前でのミスは許されない。天皇陛下のための行事に皇后が出なかった、あるいは失敗したなどということがあったら天皇陛下にとても迷惑がかかることになってしまいます。そんな緊張とお覚悟の中でなされ、見事にやり遂げたのです」
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