失敗しない人などいない。そう頭ではわかっていても、とくにチームで動く仕事やスポーツの場合は“自分のせいでダメになったらどうしよう”と、つい不安になりますよね。こういった気持ちの背景には2つの心理的要因がある、と心理学者の齊藤勇先生。特に子どもの場合は、周囲の励まし方にも注意が必要だといいます。

 

チロリアンさんからの質問

Q. 「不安だ」と言うのに努力はしない息子。どんな言葉をかけたら響くのでしょう?


息子は、あるクイズ大会で全国優勝した高校に入学し、そのクイズクラブに入部しました。親の私から見ても息子は優秀で、1年生から唯一、次の大会メンバーに選ばれました。私は喜んだのですが、息子は自分が入ったことで負けたらどうしようとプレッシャーを感じ、メンバーを辞退すると言い出しました。私は「不安なら努力をすればいい。努力もせずに逃げるのは良くない」と言い、夫も「努力の大切さを知る良い機会だ」と諭しました。ですが、その後も息子は「プレッシャーだ」「不安だ」と言い続けるのに、努力はしようとしないのです。

まだメンバー辞退はしていませんが、そんなに不安ならなぜ勉強しないのか、私としてはそこが理解できません。息子はもともと頭が良く、授業も一度聞けば頭に入るようで、あまり努力なく良い成績を取ってきたところがあるため、努力する必要性が分からないのかもしれません。こんな息子にはどのような言葉をかければ、心に響くのでしょうか?(48歳)
 

A. 不安レベルを見極め、それに合ったアドバイスをしてあげることが大事です。


なるほど、チロリアンさんの息子さんは心理学的に言うと“不安が強い子”のようですね。

不安が強くなる要因は2つあります。1つは「失敗をしたくない」という“失敗回避”心理です。これは生物が本来持っている一つの解決法でもあるのです。太古の時代は、行動せずじっとしていれば死ぬ危険はありませんでした。もちろん食べ物や良い環境も手に入れられないのですが、少なくとも失敗はしない。“不安”というのはそのために備わった心理状態だとも考えられています。ですから“不安が強い”ということが、必ずしも悪いわけではないのです。

 
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