大草ディレクターの最新刊『大草直子のNEW BASIC STYLE』より、ベーシックアイテムを効率よくアップデートするアイデアをご紹介。第2回はワンピース編。1枚で着こなしが完成するワンピースは、靴やバッグなどの”小物”が印象を大きく左右する、という大草ディレクター。表情豊かなワンピースのコーディネート術をご紹介します。
コーディネートが即完成するワンピースは、裏を返せば、「合わせ」や着方で大きく印象を変えづらいアイテムです。ただし、重ねて着るアウターやカーディガンによって、スタイリングの方向性は自在に変えられます。長いスパンで着たい、と思うのであれば、こうした羽織る物を限定しない色や柄、素材、丈を選ぶべきです。
そして、ワンピースのコーディネートを考えるうえで、もう1つの選択肢は靴。先ほどの1枚に、エンジニアブーツ、コンバースのハイカット、ローファー、そしてパンプス…。「プラスする靴」をイメージしてみてください。どんな1足を選ぶかで、おしゃれの方向性はドラマティックに変わります。
カフタンワンピース
リゾートライクなカフタンワンピースは大好き。この「カオス」のワンピースは、素材がアルパカリネンなので、シーズンレスで着られる。計算されたシルエットでラフになりすぎないのがポイント。
贅沢な生地使いを生かして、インパクト大の後ろ姿に
「1枚で着るときは、背中にVに開いた素肌をチャームポイントに。リッチな素材を使用しているから、カゴバッグだけではなく、レザーのバッグ、上質な靴が自然になじんでくれます。夏のよそゆきに」
チェックワンピース
ほっこりしがちなチェックを、大きく使うことで、スタイルアップが叶う。ウエストから下にチェックが斜めに配されているから、圧倒的に脚長に。シャツタイプなので羽織りとしても。
フロントを全開にして、Aラインのコートとして
「前を開けると、軽めのアウターとしても着られるチェック柄のワンピース。トラディショナルなチェックだからこそ、シルクのキャミソールをインナーに。ウエストのデザインがタイトだから、さらっと羽織ってもきれいです」
カーキ色ワンピース
とろみのある素材、グレーを含んだカーキ…。比翼仕立てでボタンは隠れている代わりに、胸ポケットがあって。1枚でもレイヤードしても羽織っても――アレンジ可能だから決して飽きない。
曖昧色同士を合わせると、優しい全身に
「肌となじむ色のワンピースは、全身をアースカラーでまとめて。色の強弱をつけないからこそ、コーディネートそのものがパワフルに。全身に意識を行き渡らせて、強い色に頼らないおしゃれを」
フロントを全開にして、コートみたいに
「しなやかだけど、適度に厚みのある素材だから、さっと羽織ってコートのようにも着られます。インナーはタートルだと、Vゾーンのバランスがとりやすい。クリアのバッグでモード感をプラスします」
着方を工夫したり、合わせる靴やバッグを変えることで、いつものワンピースもまた違った印象になりそうです。リゾート感あふれるカフタンワンピースも、風をはらんで揺れるチェックのワンピースも、ドラマティックで素敵ですよね。ぜひ春の着こなしの参考に。次回はデニム編をお届けします!
<書籍紹介>
『大草直子のNEW BASIC STYLE:理論派スタイリストが私服で解説! ベーシックがいつも、いつまでも新しい理由』
大草直子 著 三笠書房
約2年ぶり、待望のスタイリングブックである本書は、大草直子の考える「ベーシックスタイル」のすべてが分かる決定版。この数年、インスタグラムなどのSNSでさまざまなおしゃれ情報があふれ、おしゃれは「服を次々に買う」「アイテムで盛る」方向に動いてきました。そのように混沌としたなかで、あえての「ベーシックスタイル(普遍的なデザイン、長く着られる服)」を持ち、一枚の服を工夫して大切に着られる「育ちの良さ」がある人が、これからは本当の“おしゃれ”だと考えます。
★ベーシックスタイルとは?
★ベーシックスタイルをブラッシュアップして、いつも素敵に見せる方法とは?
その解答を書き下ろしエッセイ&オール撮り下ろし144コーデでお教えします!おしゃれにもう、悩まなくなる1冊です。
撮影/川﨑一貴(MOUSTACHE)〈人物〉、坂根綾子〈静物〉
文/出原杏子
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