大草ディレクターの最新刊『大草直子のNEW BASIC STYLE』より、ベーシックアイテムを効率よくアップデートするアイデアをご紹介。第4回はシャツ編。自分の体型の変化に合わせて、ぴったりの1枚を選ぶべき、と語る大草ディレクターのシャツ選びのポイントとその着こなしをご紹介します。
シャツと一言で言っても、実にさまざまな「かたち」があります。襟やボタンのかたち、素材、色、前立ての具合、裾のデザインや身頃のボリュームなど。シンプルで振れ幅がないように思えるアイテムですが、少しの差が、大きな印象の差につながります。
もちろん、シーズンごとの流行もありますが、細かに変わる、そのタイミングで毎回新作を手に入れるのは難しいので、「自分自身が変わった」と思えるポイントで更新を。
今までのシャツだと、肩周りがぼんやり見えるのなら、ショルダーラインを落として。デコルテに深い影が入りすぎている、と気づいたらパリッとしたコットンではなく、なめらかなシルク素材にアップデートすればよいのです。
自信をもって着こなせる1枚があれば、合わせるアイテムを劇的に変えたりしなくても大丈夫。袖のまくり方や、ボタンを何個開けるのか、というマイナーチェンジで十分です。
ロングシャツ
適度に厚みのあるコットンで、うんと丈が長く、襟は小さく、首がうまく抜ける。さらにサイドにはスリットが入って、バランスがいい――久しぶりにシャツが着たくなった1枚。
ベルトでウエストマークして、「定番」を「特別」に
シャツ・デニムパンツ/アッパーハイツ バッグ/ア ヴァケーション シューズ/マノロブラニク ベルト/ケイトケイト サングラス/サルヴァトーレ フェラガモ 時計/ジラール・ぺルゴ イヤリング/タプレイ
「ここ数年は、“ベルトをしない”ことがトレンドだったけれど。“シャツ+デニム”という定番のセットだからこそ、何か新しいチェンジを。ベルトでウエストマークすると、全身に緊張感が生まれます」
裾を出し入れすれば、バックスタイルを調整可能
「フロントだけをボトムスにイン。サイドスリットが入っているから、裾の後ろはなりゆきでボトムスにかぶせて。ヒップ周りを見せる見せない――をコントロールできるのは、この長さがあるから」
シルクシャツ
透け感が生まれ、さらに袖のシャーリング、背中の細かいダーツといった、繊細なデザインポイントが可能になるのはシルクだから。ジャケットに匹敵するきちんとした印象が気に入って。
シルクのパンツでシャツを「女の服」に
「小さなスタンドカラー、比翼仕立て。メンズライクなシャツとは一線を画す、「女のシャツ」。チェックのパンツを合わせて――シルクという共通項があるから、まるでセットアップみたいに着られます」
シルク黒シャツ
シルク、それも黒は、大人の女性にしか似合わない。光沢を抑えた素材感と可憐なくるみボタン、そしてコンパクトなサイズ感で、気軽に着られる一枚。
夜の場面には、フクシアピンクのパンツを
「黒のシルク――ふさわしい時間帯は、やっぱり夜。朝から着続けたリネンが、正統な夜の社交の場には合わないように、こんなシャツはTPOがクリア。ピンクのパンツで目上の人との会食に」
ひとくちにシャツと言っても、素材に丈感、シルエットとさまざまな選択肢が。今の自分の体型や気分にしっくりくる1枚が見つかれば、コーディネートが楽しくなること間違いありません。最終回となる次回はデニム編をお届けします!
<書籍紹介>
『大草直子のNEW BASIC STYLE:理論派スタイリストが私服で解説! ベーシックがいつも、いつまでも新しい理由』
大草直子 著 三笠書房
約2年ぶり、待望のスタイリングブックである本書は、大草直子の考える「ベーシックスタイル」のすべてが分かる決定版。この数年、インスタグラムなどのSNSでさまざまなおしゃれ情報があふれ、おしゃれは「服を次々に買う」「アイテムで盛る」方向に動いてきました。そのように混沌としたなかで、あえての「ベーシックスタイル(普遍的なデザイン、長く着られる服)」を持ち、一枚の服を工夫して大切に着られる「育ちの良さ」がある人が、これからは本当の“おしゃれ”だと考えます。
★ベーシックスタイルとは?
★ベーシックスタイルをブラッシュアップして、いつも素敵に見せる方法とは?
その解答を書き下ろしエッセイ&オール撮り下ろし144コーデでお教えします!おしゃれにもう、悩まなくなる1冊です。
撮影/川﨑一貴(MOUSTACHE)〈人物〉、坂根綾子〈静物〉
文/出原杏子
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