経済のプロのお金との付き合い方「お金はあればいいというものではない」~経済評論家・山崎元さん_img0
 

――お金は「多いか少ないか」だけで比較すると、危ないですね。

山崎:お金については、淡々と、合理的に考えたいですよね。人生には、本来お金よりも大事なことがたくさんありますから。

私がお金にかかわる仕事をしているのは、ゲームとしてのお金の正しい扱い方に興味があるからなのです。もし悪い金融マンが誰かをだましていたら、「こんなチープなだまし方をするのはよくない。手口を明かしてやろう」と思い、コラムに書くわけです。
みんながお金を正しく扱えるようになってほしいというのは、パズルを解いてみたいという気持ちにも似ていますね。

 

――解き方がわからなくて、資産が半分になってしまったりしたら悲しいですね。

山崎:はい、よくわからなくてだまされて、高い手数料を払ってお金を運用している人は、それだけお金の知識がないということのあらわれです。

同じ日経平均株価に投資するインデックスファンドが2つあったとして、その手数料が一つが0.1%で、もう一つが1%だったら、0.9%分の違いがあります。1000万円投資したとしたら、後者は1年あたり9万円の損。それを知らずに投資しつづけていたら、ある意味バカなんです。バカの程度が数値にリアルに表れてしまうんですね。

とはいえ、だまされるかもしれないとわかっていても、金融マンに相手をしてほしい人もいる。高齢者の方で、遠くに住んでいる口うるさい私のような息子よりも、近くにいる金融マンの方が、丁寧に話を聞いてくれてうれしい、とかね。

そういう人を少しでも救いたいと思っています。

――ちなみに、山崎さんご自身は、どんなところにお金を使われていますか?

山崎:私は“プチ浪費家”ですね(笑)。飲み代や食べることには、結構お金を使っています。過去には、時計やカメラ、靴などに浪費をしました。ただ、不動産や自動車までいかなかったことはよかったかな。

とはいえ、もっと高いものを手に入れようと思ったら、それに見合う収入にしたいと思い、もっとがんばって稼いだかもしれない。でも、欲望のあまり、手数料稼ぎに走る金融マンになってしまったかもしれないから……結果的に良かったような気もしますけどね(笑)。

でも、多少の物欲は必要だと思います。物欲があるからこそ「もっとがんばって働こう」という原動力になることだって、ありえますから。

とはいえ、私は自分がお金をたくさん手にするというよりも、世の中のお金の仕組みを知ることと、正しい知識を広めることに張り合いがあります。大いに頑張りたいと思っています。
 

撮影/山本遼
取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)


 

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