フランスのマクロン大統領が13日夜に、外出制限について5月11日までの延期を発表しました。あと4週間、二度目の延期です。
小規模ビジネス、観光産業、学生、所得の低い世代への支援を増やすようで、詳しくは水曜日に再度、発表するようです。

5月11日以降、小、中、高等学校を段階的に再開。大学は夏までオンライン講義。レストラン、カフェなどは5月11日以降も休業。7月までフェス、コンサート等は中止と、引き続き、厳しい制限が続きます。

「状況は予想していたよりもはるかに厳しく、誰も予測できない。医療現場も限界に近いことから、ロックダウンの制限もより一層厳しくなる。この危機を乗り切るために、国民のみなさんのより一層の協力をお願いしたい」
フランスのマクロン大統領は記者会見で、こう語りました。

厳しい移動制限によって排気ガスと騒音が消えたパリでは、ネットを通じた助け合いや新しいサービスといった、「新しい社会」の萌芽が見えるといいます。

パリからの緊急レポート第三弾。過去のレポートと合わせて、ご覧ください。
「パリの通販でマスクと除菌グッズ以外に売れているもの」>>


ランニングも制限。いつまで続くかわからないロックダウン


新型コロナウイルスの感染が拡大しロックダウンが続くフランス、外出は厳しく制限され、筆者の住むパリはロックダウンの4週目になりました。
4月13日までにフランス国内感染者数は13万人を超え、死者は1万5千人に迫ります。

医療現場の人々は依然として溢れる重症患者と足りない医療機器、自身も感染のリスクにさらされながら、限界を超えた戦いをしています。
社会機能を存続させるために必要な職業とされる、清掃員、スーパーマーケット従業員、配達員などに就く人々も、感染リスクを最小にする努力をしながら業務に当たっています。が、いつまで続くかわからない状況への疲れと感染に対する恐怖が見え始めています。

その状況に対し、パリ市は生活を支える職業の人々に35ユーロ(約4000円)の追加日給を払う支援を始め、大手スーパーマーケットチェーンCarrefourなども現場の従業員への追加報酬を決めました。

ロックダウン3週目の週末、快晴のパリでは多くの人が外へと出かけました。人々が外出する様子はSNSでも拡散され、多くの批判コメントが寄せられましたが、同時に人との1m以内の接触を避けた行動をしていたり、一人でランニングするなどのルールを守った行動なのだからよいじゃないかと言う意見もありました。しかし、あまりの人の多さに政府は危機感を募らせ、それまで許可していた日中のランニングも禁止しました。

さらに、フランス警察は公園や川沿いなどの広い範囲の監視にドローンを導入するなどして、警戒態勢を一層強めました。
ロックダウンを守らない人々と警官の衝突や、近隣住民同士のトラブルなども増え、この軟禁状態の生活に人々が疲れているのは明らかです。

ネットフリックスでは世界の終わりなどのダークなテーマの動画が好まれて視聴されており、「進撃の巨人」がフランスの人気第2位につけています。
SNSでは多くの陰謀論やフェイクニュースが広まり、コカインがコロナウイルスに効くというフェイクニュースに対して、フランス政府が公式に警告を発しなければいけない事態にもなりました。

いつまで続くかわからないロックダウンに、フランスの人々がどこまで耐えられるかの非常に重要な局面を迎えています。

 


SNSで助け合う人々


厳しい現実の中にも、懸命に助け合う人々の姿があります。
ロックダウンによって大打撃を受ける飲食店業界に対しては、これを機にトリップアドバイザー等のレビューサイトにポジティブなレビューを書き込む人が急増しています。フランス政府は手厚い休業保証を飲食店業界に対して施しているものの、一向に先が見えない状況を悲観する飲食店経営者も多いので、日頃から行くお店のレビューに多くの励ましのコメントが寄せられています。

同じく大打撃を受けた美容院などに対しても、多くのレビューが寄せられたり、オンラインで美容院のシャンプーなどを購入する流れが加速しています。行きつけの美容師さんに対しては、個人的な経済援助を行う人も出てきています。

困っている人と助ける人とをマッチングさせる試みもスタート

reserve-civiqueというサイトでは、ロックダウンで行動が制限された生活のなか、困難を抱えている人とそれを助けようとする人のマッチングが行われています。
サイトでは、足の不自由な高齢者の方に対して周辺に住む住民が代わりの買い出しをしたり、学校や保育園が閉鎖されている中、医療関係者で子供がいる方のベビーシッターを申し出る人がいたりします。

また、農業など一部の産業は、外国人労働者に頼っていたために現在、不足となった働き手を、Missionというサイトで募りました。
どちらのサイトにも応募者は殺到し、瞬く間に必要な支援は揃いました。

自身も厳しい経営状態にある飲食業界ですが、フランスのレストランのシェフの中にはストックされていた食材を使って料理を作り続け、ホームレスの人々に届ける活動をしている人達もいます。

フランスに住む日本人料理研究家のSakura FRANCK(さくらフランク)さんは医療関係者にたいして、無料で弁当の提供を行う支援活動を始めました。

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