アーダーン首相のほかにも「伝える側」の印象的な動きがありました。
保健省のアシュリー・ブルームフィールド氏のFacebookライブで行われたQ&Aがその1つです。

保健省は、今年2月にFacebookアカウントを設立しました。

国民の素朴な疑問に対し、不慣れな様子を見せながらも「これはいい質問ですね」と優しく受け止めつつ、現在わかっている事実を次々と回答。さながらYoutuber先生といった様子でした。
ロックダウンが開始してすぐのことですが、ブルームフィールド氏が休暇を取った日がありました。すると、その出来事はニュースとして取り上げられ、オンライン上に喜びの声がたくさん寄せられたのです。政府と国民、「伝える側」と「受け取る側」双方の近さを象徴している出来事のようにも感じられました。

警察はニュージランドのコメディドラマ『ウェリントン・パラノーマル』とコラボ。子どもにもわかりやすく「ソーシャル・ディスタンシング」に役立つヒントを紹介しています。

さらに言語別の発信も。ニュージランドで働く日本人の警察官が、「警戒レベル4」における権限を説明する動画もありました。日本語で聞くと内容理解度がアップし、とても助かりました。

 


目標は「非日常」からの脱出


ニュージーランドのロックダウンでは、不必要な外出や人と集まる行為は規制の対象です。これには、お葬式への参列も入ります。ほかの国でも葬儀に呼べる人数規制があるといった話を耳にしました。このウイルスが原因でもそうでなくても、故人を悼む人が集まって送り出せない、故人の家族が身体的に寄り添えない、という現状にも非日常を痛感します。

世界各国、それぞれ異なるストラテジーで新型コロナウイルスに対抗してはいますが、個人単位では、いつも共通の想いが見て取れます。

家族が心配、友人に会いたい、お店を開けられない……。

ニュージーランド39歳女性首相の独自の寄り添い型リーダーシップがコロナ感染の連鎖を断つ_img0
近所のカフェやお店のドアにはこんなメッセージが。本当に「See you soon」を望みます!


この「非日常脱出がため」という同じ目標が、筆者にとっても支えになっています。
映画館や小さな飲食店の危機を救おう、という日本の動きを目にしてから、私も近所のカフェのSNSをのぞいてみると、そこでもバウチャー販売や寄付を募り、多くの人が賛同していることを知りました。
カフェに行かない日もあったけど、あるとないとでは大違いだよなぁ…。この国とのつながりを皮切りに、そんな小さなつながりも見えるようになりました。

構成/小泉なつみ