天命とは、自分は何で喜びを感じるか
ATAが最も大切にしているのは、「自分の天命や使命を知り、その自覚を持つ」ということ。そのために各分野の第一線で活躍する人たちを講師に招き、受講者同士でディスカッションすることに力を置いています。
「私も若い頃からずっとやってきている、『自分は何のために生まれてきたのか?』と、自分の心を内省する作業です。理由もなく生まれてきた人はいないという考え方が大前提にあって、自分の経験や心の内側を見つめ直していくことで、自分にはどんなことができるのかを知り、そこから自分のやるべきことを掘り下げていきます。受講生たちは一人ずつ内省を発表し、お互いが話し合うことで、最終的に『自分が何をやるべき人間なのか』ということが見えてくるんです。私も過去の経験を全部洗い出すことで、自分が何をすればうれしく感じるかを知ることができ、そのうれしいことを毎日積み重ねていくことで、いい人生を作ることにつながっていったと実感しています」(小林さん)
「常に今がはじまり」を体現する存在に励まされた
今回の取材では、ATA一期生の方にも同席していただきました。由利智美さんは、そんな小林先生の考え方や生き方を間近で見て、感銘を受けた一人です。
「ATAのメンバーとしてそこにいられたことだけでもとても幸せなことだったのですが、一番大きいのは、照子先生という存在と時間を共有できたことです。照子先生は『どんな仕事も経験も、自分の成長のため』とおっしゃっていて、これは自己啓発系の本でもよく書かれていることです。でも、照子先生の言葉には、ひとつひとつに経験から得たものが宿っているので、腑に落ちる度合いが圧倒的に違いました!」(由利さん)
外国人ビジネスマンを対象とした日本語のプライベートレッスンを行う日本語教師の由利さん。そこから派生して、日本語教師を目指す人たちへのセミナー開催やコンサルティングなど、仕事の幅を広げてきました。ATA一期生募集のことを知ったのは、第一子出産の直後。それまでは仕事に邁進してきたものの、出産後は生活が一変。「どうやって仕事に復帰し、どう働いていけばいいのだろう」という不安を感じていた時期だったと振り返ります。
「募集のことを知った時、『絶対に行かなきゃいけない!』という強い気持ちが芽生えました。月1回、夜に開催される講座で、それくらいなら子どもを夫に預けられるはず。不安や躊躇はありませんでした。参加してみると、子どもがいても仕事をしている人はたくさんいたし、何より照子先生は80代で『常に今からがはじまり』とおっしゃって、新しいことに挑戦されています。子どもがいる、預けられないというのは私には言い訳に過ぎなかったし、照子先生の前では絶対に言えないなと思いましたね(笑)」(由利さん)
受講生一人ひとりの意欲が高く、講師として加わる各分野の専門家も交えたディスカッションで得るものが多かったと振り返る由利さん。1年間の講座を終えた一期生は卒業後も強い結束で結ばれているといいます。
「横の連携を一人で築いていくのは難しいものですが、ATAのおかげで、自分が全く知らない分野の人とのつながりを得ることができました。分野は違っても、私の分野で応用できることを発見したり、他業界の視点から客観的に自分の業界を見ることができたりと、ATAじゃないとできないことがたくさんありました。新型コロナウィルスの影響で他分野の人とのコラボレーションが延期になったりもしましたが、連携力を強みに、それらの経験も今後に生かしていきたいと思っています」(由利さん)
「ATA」は5月から二期生の15人を迎え、新たなスタートを切る予定です。新型コロナウィルス感染拡大が象徴するように先行きが不透明な今だからこそ、天照大神のように愛と光に満ち、希望を持ち続けることが大切なのかもしれません。
後編では、小林照子さんの長年の経験から得られたものや考え方、年齢に関係なく新しいことに挑戦していくことの大切さについてお話を聞いていきます。
取材・文/吉川明子
構成/山崎 恵
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