シングルマザーの年収は約200万円で、ひとり親男性のおよそ半分(厚生労働省/平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果より)。120万世帯いる母子家庭の貧困率は5割を超えるといいます。

もともと弱い立場にあるひとり親女性が今、コロナ危機によって仕事やつながりをなくし、生活が立ち行かなくなってしまう恐れがあるーー。

そんな苦境に立たされているシングルマザーと子どもたちを支援すべく、エッセイストの小島慶子さん、『Business Insider Japan』の浜田敬子統括編集長らが、「ひとりじゃないよプロジェクト」を発足しました。

 

本プロジェクトが行ったシングルマザーへのアンケートでは、新型コロナウイルスの影響で、91.9%が収入減といった経済的な煽りを受け、7割以上の家庭が食費に悩みを抱えていると回答。
さらに、不安やストレスを感じている人のうち47.5%が、相談先がないと答えており、緊急の支援を必要としている現状が明らかになっています。

 
【回答者の声(一部抜粋)】
・いつ感染するかわからない、感染していてもわからないかもしれない。人に感染させているかもしれない。感染したら死ぬかもしれない。死んだら子供たちはどうするんだろう。
・現在支払いが出来ず、収入も入ってこなくなり、ガスも止まっている。家賃も支払えなかった。
・休校になって約60日がたちますがまだ手元に一切支援金は入ってきていません。手続きが非常に複雑で子供達の面倒を見ながら書類を揃えたり記入するのが大変です。

そこで本プロジェクトでは、親や子どもを支援する団体をサイト上で紹介(5月11日現在、18団体)。「ひとりじゃないよプロジェクト」自体では寄付金を集めず、支援を考える人は直接、団体へ寄付する仕組みになっています。

「ひとりじゃないよPJ」サイト内で紹介されている支援活動団体(5月11日現在)

5月7日に行われたオンライン記者会見でこの仕組みについて説明した浜田さんは、「社会貢献したい人と団体をつなぐだけでなく、助けを必要としている人たちがこのサイトに出会い、こんな組織があるんだ、いま自分たちに起きていることはこういうことなんだと知り、つながることができることを目指している」と話していました。

また、発起人のひとりであるNPO法人ETIC.の宮城治男代表理事は、「困っている人々への優しさや想像力を持つことが、アフターコロナ時代の真の豊かさにつながる」と語り、社会問題を家族間で語り合う機会のひとつとして、さまざまな団体の存在を「知る」重要性を語っていました。

「ひとりじゃないよPJ」発足会見

小島慶子さんも、「ひとりじゃないよプロジェクトは、サイトを訪れた人が寄付先の団体を調べるうちに、社会問題にも気がつく場でもあります。問題意識を持ってもらえたら」と訴えます。

本プロジェクトの発足にあたって行われた母子家庭へのヒアリングでは、離婚したことに罪悪感を持っている母親が多く、「自業自得だ」「離婚はあなたの選択でしょ」と言われることに怯え、悩みを打ち明けられないシングルマザーの葛藤も見てきたと言います。
こういった「罪悪感」や「自己責任論」は日本特有のもので、今後課題となっていくのではないかという話も印象的でした。

10万円の一律給付金の使いみちに迷っていた方には、特に訪れてほしいサイトです。


構成/小泉なつみ