ついてこい!ではなく、自分が相手のいる場所まで迎えに行く
今回のコラムのミソはここです!(←重要ポイント予告です。笑)
聞き手は自分の興味や知識の量より、話が簡単すぎても難しすぎても、共感できなくて飽きてしまいます。たとえばベストセラーのHOW TO本。手に取ってみたら、「全部知っていることばかり!この本、なんで売れているの!?」と思った経験はありませんか?それは、著者が迎えにいっているのはあなたではなく、その本を読んでもらいたい、まだその内容を知らない沢山の人達なのです。あなたが話すとき、発信者になるときも、聞いてもらいたい相手のいる場所までに迎えにいきましょう。迎えにいくとは具体的にどういうことなのかを、トークイベントを例に説明します。
私がトークイベントで司会をするときには、最初に知りたいのはどういう方がお客様なのかということ。お客様の層によって迎えに行く場所が違いますので、伝え方、アプローチが変わってくるのです。
ミモレ主催のトークイベントで司会をするとします。モデルAさんがゲスト。テーマは「夏におすすめの帽子」としましょう。
【ミモレから事前応募のお客様限定のイベントの場合】
想定される客層:当然ミモレとAさんのファンとそのお連れの方です。ミモレを愛読、AさんのSNSも毎日見ているので情報通の方が多くなります。
飽きられる要因:おそらく紹介する商品をすでにミモレやAさんの記事で見たことがあり、お客様によっては同じ帽子をかぶって参加してくださる可能性もあります。記事と同じ話ばかりしていたら飽きられてしまいそう。
アプローチ:写真ではわからなかった商品の魅力&帽子のかぶり方アレンジ、そしてAさんがSNSでは語っていない感情や、ここでしか聞けない裏話などを挟むようにします。
【道ゆくお客様が立ち止まって聞くオープンイベントの場合】
想定される客層:楽しそうだからと立ち寄った、たまたまそこで休憩している方など。
飽きられる要因:もともとイベント参加を目的に来たわけではないので、面白くない&共感できないと離脱してしまいます。
アプローチ:帽子にそこまで関心がない、帽子選びが難しいと考える人に「それなら私も!」と思っていただきたいので、ファッションのプロAさんが思う「大人に帽子があるとこんなに素敵な夏になる」といういくつかのシチュエーションを私なら聞きたいです。
【メディアやインフルエンサー向けイベントの場合】
想定される客層:発信・拡散をしてくれる方。もちろんファッション感度が高い。
飽きられる要因:ファッション用語にも詳しい場合が多いので、新しい言葉以外の説明は退屈になります。イベントにも多く出席されているので、よりスマートな進行が求められます。
アプローチ:発信する方が知りたいのは「記事にできるポイント」なので、Aさんに聞くのは「記事にしてもらいたいポイント」です。インフルエンサーさんはイベントに来ていること自体を記事にして拡散するので、ご自身と商品の撮影はどのタイミングで、どのスペースでできるのかをイベントの前にアナウンスします。
相手をよく見て聞いて感じることが「飽きさせない」に繋がる
先に説明した例のように、相手の心理、目的をうまくキャッチすることが「飽きない話」に繋がっていきます。プレゼンや商談であれば、聞き手はある程度想定できるので、事前に話の内容を調整することはできますよね。そして、いいスピーカーは話しながら、相手の表情、会場の空気、ライブ配信なら視聴者のコメントを、同時によく見ています。自分が用意した話が相手のステージと同じかどうか、確認しているのです。最初は、とにかく話すことだけで精一杯です。でも確認をしようと意識していると次第に「空気は読めたけど修正できない」という状態になっていきます。とてもいい兆候です! ただし、焦って無理に軌道修正しようとするとトークが崩壊するので、「今の自分には修正はできない。でも次回は部分的にでも頑張る!」で留まる。この経験を重ねることで、次第にまわりを見ながら調整できる「飽きさせない話し手」へとなれるのです。
前回記事「人気MCが教える「テレビ会議がストレスにならないために知っておきたい11のこと」」はこちら>>
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