わが家のキッチンは狭いということもあって、あえて下ごしらえや下準備のようなものをしないようにしています。料理本にはよく、最初にすべての材料を切る工程が書かれていますよね。でも、わが家でそれをしようものなら、調理台がいっぱいになってしまって料理がスムーズに進みません。洗い物も増えてしまってすぐにシンクがいっぱいになるのは目に見えています。もちろん、先に全部切ったほうが安心、効率的という場合もあるのですが、先に全部切るのが正解と思い込む必要はないと思っています。

台所は狭いからこそ、あれこれ置かずに段取りよく、が志麻さん流。

私はいつも炒めたり煮たりしている最中に、次に投入する材料を切っていきます。火の通りにくいものから、カットして加えていけばいいので、バット類を出し入れする手間もなければ、洗い物も少なくてすみます。

 

狭いということをデメリットに感じる人もいるかもしれませんが、私はコックピットのようなわが家のキッチンをとても気に入っています。たくさんのお宅でお仕事をさせてもらってわかったのは、必ずしも広いキッチンである必要はないということ。狭ければ、動線が短くてすみますし、必要なものにすぐ手が届いて快適なんだと実感しています。

狭ければ狭いなりに、調理台がいっぱいにならないよう、洗い物が少なくてすむよう、きちんと段取りを考えるようになります。結果、料理がスムーズに進められ、時短にもつながるのではないでしょうか。狭いキッチンのおかげで道具を使うたびにさっと洗うクセもつきました。狭いキッチンって、じつはいいことのほうが多いのではないかと思うほどです。