新型コロナウイルスの特効薬やワクチンが待たれる中、私たちは体調が悪いと思ったときに、どう薬を摂取すればいいのでしょうか?
書籍『感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る医食住50の工夫』の著者で、小児科医・ウイルス学研究者である本間真二郎さんに伺いました。

 

自然治癒力と西洋医学を上手に利用


今回の新型コロナウイルスは、あきらかに一部で重症化する可能性のある感染症です。ただ、ほとんどが軽症で経過すると思われます。
ほかの感染症でも軽症な場合には病院を受診しないのが原則ですが、同時に、すべてを自然の経過に合わせて、何もしないことがよいことでもありません。

 

基本は自然に治る力である自分の自然治癒力を使い、必要に応じて薬や西洋医学を上手に利用することが賢い選択になります。つまり、入院が必要な状態になりそうな症状を見逃さずに、適切な時期に受診するのがいいと思います。
この「適切な時期」とは、熱や症状の出た期間などではなく、以下の症状がある場合と私は考えます。

◉呼吸苦や呼吸困難の症状がある(はじめは労作時に出てくるので、それを見逃さない)
◉倦怠感が強く、ぐったりしている
◉水分がとれない。十分なおしっこが出ない
 

新型コロナも多くは自然に治る


薬に頼ることも期待できません。ほとんどのウイルス感染症は、根本的な治療薬がないからです。ただ、通常の免疫力があれば、薬を使用しなくても自然に治ります。
驚かれるかもしれませんが、健康で通常の免疫力があれば、今回の新型コロナウイルスも自然に治るのです。

では、自宅で待機しているときなどには、どのように対処すべきかです。まずは、ウイルス感染症では、抗生剤を使わないようにしましょう。抗生剤は細菌感染症の治療に使うもので、ウイルス感染症にはまったく効果がありません。
感染を防御したり、免疫の働きを調節したりしているのは、体内にある常在菌、とくに腸内細菌になります。抗生剤は効果がないどころか、この正常な常在菌に深刻なダメージを与えます。
ただし、入院した場合やICUでの管理が必要な場合は使用されますが、管理上の問題や入院中の細菌の重複感染を防ぐための処置として、これはやむを得ないでしょう。
 

解熱剤は使わない。発熱はからだの免疫反応を高めるため


解熱剤も使用してはいけません。発熱とは感染に対する防御反応です。からだは体温を上げることにより、病原体を弱らせ、免疫力を上げて対処しています。ほとんどのウイルスは低温にはものすごく強いのですが、高温には弱いのです。

いっぽうで、体温が上がるにつれ免疫力は増強します。つまり、発熱は病原体によるものではなく、からだの免疫反応を高めるためなのです。
せっかく上げた免疫力を解熱剤で下げる必要はないし、下げてはいけないのです。むしろデメリットになりかねません。

インフルエンザのときに、インフルエンザ脳炎・脳症やライ症候群、サイトカインストームなどの生命の危機や重篤な後遺症につながるような合併症をおこすのは、解熱剤や治療薬などによる影響で、免疫系の正常な反応を阻害し、病気が自然に治る過程を阻害するためにおこる可能性が強く疑われています。

 
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