BTS(防弾少年団)、ブレイク・ライブリー、ガガも寄付
いま、アメリカ全土で行われているのが、「Black Lives Matter」(ブラック・ライヴズ・マター)、すわなち「黒人の命は大切だ」というプロテスト(抗議)です。
この抗議運動は、2020年5月25日、ミネアポリスでジョージ・フロイドさんが逮捕された時に、無抵抗であったにもかかわらず、警官に首を膝で押されて窒息死したという事件がきっかけとなりました。
「I can’t breath」(息ができない)と唱和しながら歩いているプロテスターが多いのは、このため。
黒人に対する警察暴力や、構造的な人種差別の撤廃を訴える運動です。
ロスでの抗議デモには、ホールジーやエミリー・ラタコウスキー、ベン・アフレックらのセレブも参加しました。
そしてアンジェリーナ・ジョリーやレディ・ガガ、ブレイク・ライブリー、カニエ・ウエスト、ジョン・レジェンドらを始めとするセレブたちが、多額の寄付を。
BTS(防弾少年団)も「ブラック・ライヴズ・マター」の運動に、なんと100万ドル(約1億1千万円)を寄付。
セレブたちも他人事ではなくて、積極的に参加しているのです。
一方で、暴動や略奪のようすもテレビのニュースで流されたのを、目にしたかと思います。
NYでも騒ぎに乗じた略奪者たちに店舗が襲われ、ソーホーの店舗はシャネルもコーチもことごとく破壊略奪。
5番街の店やデパートは全部ベニア板でおおわれ、きらびやかさの欠片もなくなってしまいました。
けれども報道で「デモ隊の一部が暴徒化」といったイメージを持つとしたら、それは誤解。
実際には、平和的にデモをするプロテスターと、デモという隠れ蓑で略奪を行っているグループは別なのです。
暴動の時には必ず火事場泥棒が発生するのですが、NYの店舗を襲ったのは、もっと組織化されたギャングや窃盗団。
夜中になってから、彼らはグループで押し入り、商品を盗んで逃走。警察の無線を傍受して、守りが手薄のところから押し入るという知能犯でもあります。
さらにデモには、自分たちの目的のために、騒乱を大きくしている扇動者たちも紛れ込んでいます。
扇動者の目的は、騒乱を大きくしてデモ隊を危険に見せる、あるいは警察との対立を煽るためにやっていると考えられ、極左集団や白人至上主義者が、ひそかに紛れ込んでいるといわれています。
それとは異なって、この運動のメインであるプロテスターたちは、基本的に平和なマーチを行っているグループ。
ミレニアル世代やZ世代を中心にした若者が中心となっています。
彼らは「ダイバーシティ」(多様性)や「インクルーシヴ」(包括的)な価値観を持っているので、人種差別には「NO」を突きつける世代。
デモの現場に行くと、白人やアジア系も多く参加していて、なにも黒人だけのデモではありません。
さらに女性の参加も多く、医療従事者がたくさん参加しているデモもあります。
「なぜブラックだけでなく、白人も参加しているの?」
「ブラックの命だけが大事? 白人の権利は?」
という疑問もわくかもしれませんが、この裏には、長年にわたるアメリカの人種差別が根深く係わっています。
1862年の奴隷解放宣言後、黒人たちは自由になりましたが、南部の州ではさまざまな黒人差別法が施行され、白人によってリンチで殺されたケースも何千と発生するようになったのです。
1950年代であっても、白人女性と逢ったという疑いをかけられただけで、殺されるケースがありました。
そして黒人が投票権を得るための公民権運動では、平和にマーチをしても、警察によって暴力的に逮捕されていたという過去があります。
こうしてずっと歴史的に続いてきた警察の黒人差別がクローズアップされたのは、1992年のロドニー・キング事件でのこと。
ロサンゼルス市の警官4人が、キング氏に激しい暴行を加え、そのビデオがテレビで放映され、それなのに警官が無罪となったために、怒れる黒人たちによってロサンゼルス暴動が勃発。
その後も、警察の過剰暴力や、犯人だと誤解されて射殺される黒人たちが何人も出てきましたが「警官の正当防衛」を理由にして、警官が不起訴、無罪で終わってきました。
そこで2013年から始まった黒人の人権平等を求めるアクションが「ブラック・ライヴズ・マター」。
スマホで撮影される事件が多くなったので、問題が目につきやすくなったといえますが、それでもアメリカ全体では「警察の言い分が正しい」と考える人のほうが多かったのです。
それが今回のジョージ・フロイド事件では、あまりに映像がはっきりしていたため、全米が衝撃を。こんなことは許されないと声があがりました。
一気に世論が動き、警官たちは殺人罪と幇助罪で追訴されることになったのです。
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