国外の感染状況や規制についての調べ方

コロナ後の海外旅行や出張で気をつけること #コロナとどう暮らす【山田悠史医師】_img0
さらに懸念すべき興味深い報告がオランダから上がってきています。オランダのミンクの農場で、下痢や肺炎の症状を出し、命を落とすミンクが急増したというのです。そこでこれらのミンクに対してPCR検査を行ったところ、高率に新型コロナウイルスが検出されたことを報告しています。

もう一つ押さえておくべきは、渡航先の感染流行状況や入国規制状況でしょう。各報道で皆様ご存知のことかと思いますが、流行状況というのは地域によって大きく異なります。日本で流行が落ち着いてきていても、地球の裏側では感染爆発が起こっているということもありえます。これについては、ジョンズ・ホプキンズ大学のウェブサイトをはじめとする多くのサイトで検索可能ですので、予め調べておくことをお勧めします。

また、国により入国規制を行っているところもあります。旅行者ビザでは入国できないなどの可能性もありますので、こちらも予め入念にチェックしておく必要があります。どの国でどのような規制が行われているかというのは、外務省のホームページで確認することができます。例えばイギリスでは、入国自体はできるようですが、入国したら連絡先フォームを提出すること、14日間の自主隔離が求められます。

この14日間というのは、主に病気の潜伏期間をもとに決定されており、多くの国で採用されています。潜伏期間とは、ウイルスが体内に侵入してから症状が出るまでの時間のことです。通常この新型コロナウイルス感染症では、潜伏期間は4から5日であることが分かっていますが、これより長い方もおり、全体の99%が発症するまでというセーフティーマージンを取ると2週間にも延長しうることが知られています。また、仮に無症状の感染があったとしても、1週間以上経過しているケースでは、人への感染伝播のリスクが極めて低いことも複数の研究で報告されています。これらの理由から14日間隔離が行われていれば安全という風に考えられています。

必要な感染対策は、国外に行っても変わりません。こまめな手指消毒、咳エチケット、ソーシャル・ディスタンス。現地で感染が流行していたとしても、こういった基本的な感染対策があなたの身を守ることにつながります。また、いざという時のために、現地の保険や医療機関の情報も入手しておきましょう。
 

 

新型コロナだけではありません


さらに、大切なことは新型コロナウイルスの感染対策以外にもあります。

ここまで新型コロナウイルスのことばかりが注目を集めてしまうと、ついつい忘れがちになりますが、国外での感染症リスクは何も新型コロナウイルスだけではありません。これからまた流行期になればインフルエンザも流行しますし、それぞれの地域で特有の感染症の流行もあります。

地域ごとの感染症、それを予防するためのワクチンの推奨については、厚生労働省のホームページにまとめられていますので、渡航前にはぜひ一度ご確認いただき、必要なワクチン接種を済ませておくことが大切です。残念ながら新型コロナウイルスについてはまだ有効なワクチンがありませんが、ワクチンで多くの感染症を防ぐことができるのがお分かりいただけるはずです。

また、安全情報を定期的に送り届けてくれる「たびレジ」というサービスも活用できます。こういう時だからこそ、このようなサービスも確実に活用し、準備は抜かりなくしておきましょう。


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