愛するペットが感染したら…。人間だけでなく、動物への感染例もあるという新型コロナウイルス。人からペットへ、ペットから人への感染はあるのか。どんな動物が感染するのか。世界各国の論文や報告から、山田悠史医師が、動物における新型コロナウイルス感染症について、まとめてくれました。

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ペットもステイホームが必要か


新型コロナウイルスは今後どのような広がりを見せていくのか。世界が注目する中、関心事の一つに動物の存在があります。米国疾病予防管理センター(CDC)やWHOを含めた多くの公的機関は、ペットから人への感染にはまだエビデンスが十分ないとしながらも、感染者や感染の疑いがある人のペットは、感染者とともに同期間、隔離されるべきだと推奨しています。

これを読んでいる方の中にも、ペットを飼っていたり、動物好きだという方もいらっしゃることでしょう。そこで、本記事では、動物と新型コロナウイルスの関係性について、これまで報告されている論文や報道をもとに、まとめていきたいと思います。

まずそもそも、起源を辿っていくと、新型コロナウイルス感染の流行の始まりは、「動物から人へ」という話でした。確定的なのは、こうもりがウイルスの最初の感染源だということです。これは、こうもりのウイルスの解析から明らかとなっています。

そしてその後、人から人へという伝播で、あっという間にパンデミックを引き起こしました。それではその後、人から動物へという感染伝播はどの程度あったのでしょうか。

犬もマスクをするようになるのか。
 


人から動物への新型コロナ感染例


人と密接に関係を持つペットについては、感染初期からすでに人からの感染の可能性があるのではないかと考えられ、特に中国で、熱心に動物に対してのウイルス検査が行われていました。しかし、当初は陽性になる例は見られませんでした。

初めての動物への感染報告は、香港からでした。香港では、感染者と同居していた計15匹の犬に検査が行われて、2匹の犬から新型コロナウイルスが検出されたことが論文で報告されています。

1匹目が17歳のポメラニアンで、高血圧や腎臓病などの持病があったそうです。一方、2匹目は2歳半とまだ若く、持病も知られていないジャーマンシェパードで、こちらも飼い主からの感染が疑われています。幸いなことに、2匹とも症状を出すことなく、すでに改善したようですが、これらの報道が出たことで、人から動物へという感染経路が存在する可能性が注目されるようになりました。

その後、ベルギーからは人から猫への感染例が報告されて注目を集めました。猫については、ベルギーのみならず、アメリカやフランス、スペイン、最近ではロシアからも立て続けに報告されて話題となっています。

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