先日、ミモレ読者を招待して開催された大草直子ディレクターとのZoomミーティング。これからの生き方、家族との向き合い方など、読者の皆さんから事前に寄せられた質問に大草ディレクターが答えていきました。その内容をご紹介させていただきます。

コロナ時代のファッションはどうなる?どうする?【大草直子が回答】>>

 


【大人のひとり旅について】


<桜子さんからの質問>
母になって20年になります。私には密かな夢があります。下の子が高校生になったら一人旅がしたいと思っているんです。ゆっくり町を歩き、本を持って気ままにバスや電車に乗って、のんびりとそこの空気を味わえる時間を持ちたいです。北米以外で一人旅におすすめの国、都市を教えていただけますか?

<大草ディレクターの回答>
「昨年のヨーロッパ出張のオフで訪れたスペインのメノルカ島も本当に景色が美しくておすすめ。あと3年前に行ったポルトガルのリスボンもすごくよかった! そこで生きている人たちが本当に素晴らしいの。ここからは私の勝手な分析ですが、騎士道精神が残っているのか、ポルトガルという国が天下を取ったのが遙か昔だからなのか、みんなガツガツしていなくて、リラクシングでフレンドリー。あとは、ごはんがおいしくって。ポルトガルもタコやいかなど魚介を生でも食べる文化なんです。日本と似ているし、ワインとすっごく合うの! EUの加盟国だけど、物価は安い。バスや電車も走っているし、世界遺産や美術館も充実しているから、のんびり旅するにはちょうどいいと思います」

 


【これからの生き方、働き方について】

<チェコ在住のチェコさん>
ステイホーム中、そしてこの後、さらに自分軸で生きたい気分が高まり、ファッションもこれまでと違う選び方になるのかなと感じているので、今の生のお声を聞きたいです。

<ビブラさんからの質問>
ずっとお忙しかった大草さんがstay homeの過ごし方を経験して今後どのようなライフスタイルにしようと思いましたか?

このほか、コロナ後の新しい時代がどうなると思うか大草さんの考えを聞きたいという質問も多数いただきました。

 

<大草ディレクターの回答>
「私自身もすごく意識が変わりました。この3カ月弱くらいはほとんど家で仕事をしていて、今まで対面で行っていたこと、会議はオンラインで、サンプルチェックも宅急便で送ってもらって、着てみて、送り戻すというふうに。どうしても対面でやらなくちゃいけない仕事もありましたが、98%は家で仕事していました。

その間に気づいたのは、人と会って生まれるケミストリー、ひとりひとりの波動や言霊、エネルギーが集まってこそ生まれるものが確実にあるということ。そしてじっくりゆっくりと話し合うことの大切さも実感しました。いつもより時間ができた分、会社のメンバーとはズーム会議をよくしていました。それまでは、タクシーで移動する短い時間で打ち合わせをしたり、打ち合わせが終わるか終わらないかのうちに振り切るように次の場所へと移動したり。目の前のこと、今日のことで精いっぱい、という生き方で。

数か月の家で過ごす時間の中で、虫の目と鳥の目、ふたつの目線を大切だと気づきました。虫の目とは物事を仔細に見つめる目。そして鳥の目は俯瞰で全体を見る目です。今までは俯瞰で見る鳥の目まではなかなか意識できなかったんですね。

まわりのことも自分自身のことも俯瞰で見られるようになり、一緒に働いている人たちの大切さにも気づきました。家族ともそれこそ初めてというくらいに長い時間一緒に過ごして、今までの自分はなんて追い立てられて生きてきたんだろう、と。あのリズムには戻れないし、戻らなくていいかな。

幸せも仕事の量も稼ぐお金も。ワイングラスにたとえれば、どれだけ注げるのかわからないまま、やみくもに『満杯』に向かって努力する毎日でしたが、今はこれだけあれば幸せ、と「足るを知る」ということ実感できました。このことに気づけたのは大きかったし、いろんなライフスタイルを楽しめるようにもなりました。もう、あんなには働かなくていいかな(笑)。ただ、あの時間で学べたことはあったから、無駄とは思っていません。

大事なものとそうでないものもわかったし、いつどうなるかわからないということも肌身で知ることができました。だからこそ、先送りにしない、後悔しない、そしてやれることは言い訳せずにやる、ということも胸に刻みました」

この時間に気づいたこと、感謝したこと【スタイリスト大草直子】>>