コロナによって世の中が大きく変わって不安が高まる中、この荒波を乗り越えるために、お金とはどのように付き合っていったらよいのでしょうか。
今回お話を伺ったのは、経済アナリストの森永康平さん。最近は経済不安が増す一方で、株などの投資が注目を集めているのも事実。ただ、「それ以上に“自己投資”も大切です」とアドバイスします。

コロナ禍で今、みんなが「投資」しているものをAIで調べた意外な結果 #コロナとどう暮らす_img0
 

――コロナによって、今後の収入に不安がある人も多いです。何かアドバイスはありますか?

 

森永康平さん(以下敬称略): これからは「自己投資」の重要性がより増すと思っています。
実際に私が経営に参画している企業が開発した自然言語AIの分析でも、ここ最近は自己投資についての関心が高まっていることがわかっています。

人々がどんなことに関心があるかを調べたのですが、コロナの影響がほとんどなかった今年の1月、2月時点では、「政治」「経済」「夫婦関係」「不倫など芸能人のゴシップ」などの検索が多かったのが、3月ではコロナの影響を受けて、「症状」「中国」「東京都」などの検索が増えました。
そして感染者数がピークになった4月には、「資格」「スキル」「リーダーシップ」といった自己投資に関する単語の検索が増えていたのです。

――スキル系に関心が高まってきたのですね。

森永:はい、そうなんです。コロナウイルスを完全に撲滅することは難しい。ワクチンや治療薬ができるのにも時間がかかりそう。やはり今後も第二波の恐れもあり、再び収入が減る可能性もあるので、スキルアップをして転職や副業など、何か収入につなげたいと考えた人が増えたのでしょう。
また「貯めておかなきゃ」という意識も高まったためか、「NISA」や「イデコ」といった制度を、改めてじっくり調べる人も増えています。

――コロナとともに「自分がどう動くか」に意識を向けているのですね。

森永:ええ、今回のコロナによって、「自分の時給」を考えさせられた人が多いと思うのです。
例えば、文章を書くことは誰でもできると思いますが、文章を書いて大きな収入につなげることはなかなか難しい。スキルがなければ、1記事500円~2000円くらいだと思います。
ですが、専門知識があってプレミアムがある記事を書ける人は、極端な話、1記事20万円を超えることもあるでしょう。同じ文字量でも、100倍以上の差がついてしまうのです。
また、副業をする人が増えると、競争者が増え、単価が下がっていきます。その中でいい単価で仕事をするためには、やはり知識や経験が必要です。

外出自粛によって、家にいながら仕事をしたときに、自分がどれくらいの収入を得られるかが数字でわかってしまったのです。現実に直面して、「スキルを身につけよう」と感じた方が増えているのではないでしょうか。

――収入が複数あれば。仮に何か一つが不安定になっても安心ですものね。

森永:そう思います。今回のコロナによる自粛期間では、イベント等も控えることになりましたよね。もし仕事が「講演」1本だったら、収入がゼロになってしまったと思います。

会社員の方でも、匿名でSNSなどでフォロワーを増やしながら、有料で情報発信したりと、副業をしている方もいらっしゃいます。
「株などの投資」も大切ですが、仕事の幅を広げるような「自己投資」が、これからはさらに大切な時代になると思います。

 
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