夏の温活6つのおすすめ
夏の体の冷えは、内と外からキンキンに冷やされる「内外ダブル冷え」が特徴。通勤電車やオフィスの強い冷房、冷たい物の飲み過ぎは誰もが思い当たる節があるのではないでしょうか?
これを繰り返すと体は体温コントロールが上手くできず、「熱中症」になりやすいと川嶋先生は警告します。
「熱中症になりやすい人は、実は冷え症の方が多いのです。夏に冷えを感じるという患者さんは、だるい、疲れやすい、頭痛や目まいといった症状を訴えますが、これは熱中症の代表的な症状と同じ。体を冷やし過ぎると、暑い時にも上手に体を冷ませなくなってしまうのが夏の冷えの怖さです」(川嶋先生)
そこで取り入れたい、夏の冷え対策は6つ。
1 露出した服装は避けよう
冷房が効いた環境で過ごす時のために、薄手のカーディガンや羽織れるものは必須アイテム。さらには映画館やオフィスでは腰から下を冷やさないよう膝掛け、靴下も用意して。
2 肌を冷やす冷却グッズは避けよう
冷却材などの冷たいものを肌にあてる冷却グッズや肌に直接吹きかける冷却スプレーなどは、体温を奪ってしまいます。
3 吸水性のよいハンカチを持ち歩く
汗をかいたまま冷房の効いた場所にいると、ブルッと震えがくることがあります。汗が蒸発するときに熱が奪われ、冷たい空気にさらされると体温はガクッと下がってしまいます。吸収性のいいタオルやガーゼのハンカチで、汗を拭きとって、冷房による冷えすぎを防ぎましょう。
4 冷たい飲み物は避ける
常温の飲み物でも、十分に水分補給はできます。できれば温かい飲み物がおすすめです。朝食、ランチのあとなど消化が活発になる時に温かい飲み物で内臓を温めれば、体の内側からの冷えを防げます。
5 温める食材を摂取する
内臓が冷えないように、夏でも温かいものを食べる習慣をつけましょう。例えば、常温の豆腐に生姜をたっぷりのせるなど、温め食材を薬味に利用するのも手。
6 シャワーではなくちゃんと入浴する
夏はとくに、40度以下のぬるめのお湯に20分ぐらいゆっくりつかってリラックスすれば、夜もぐっすり眠れます。更年期の女性の悩みを鎮静化するクラリセージ、幸福感を高める乳香など、お気に入りの精油を1、2滴たらすとベター。
温め&リラックスで冷え退治
体を冷やすのは生活環境ばかりではありません。体温をコントロールしている自律神経のバランスの乱れを整えるのも大事です。
「自律神経はリラックス担当の副交感神経と緊張担当の交感神経の2つがありますが、ストレスがかかると交感神経が強く働きます。すると血管が収縮して体の冷えにつながります。寒いと感じることが余計ストレスになり、さらに交感神経を高めてしまうという悪循環がおこるのです。
とはいえ、日々の生活のなかではどうしてもストレスはかかってしまいますので、緩和できる方法を持っている方は強いです。ただし、ストレス解消しなくっちゃと、無理に運動したり、遊んだりすると、それが逆効果になるので要注意です。
がんや体に入ってきたウイルスを退治するリンパ球は、副交感神経を高めてリラックスすること、そして体を温めることで増やせます。
ご自身が心地良いと感じられるものを、ストレスなく続けてくださいね」(川嶋先生)
最新刊『「がん」も「うつ」も体温が低い: 低体温と病気の思いもよらない関係』(KAWADE夢新書)
日本人の平熱はどんどん下がっている!「冷え」はないという人も安心できない。なぜ、低体温は万病のもとなのか?そして“冷え退治”には、何をすべきか?体を温めることの大切さと、その方法を豊富な臨床経験から、やさしく説いていく。糖尿病、アレルギー、更年期障害、低血圧、肥満、不眠、イライラ……を改善する「温活ライフ」のすすめ。
構成/片岡千晶(編集部)
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川嶋朗先生
1957年生まれ。医学博士。北海道大学医学部卒。東京女子医科大学大学院修了。
ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院留学。東京女子医科大学准教授を経て、東京有明医療大学教授。
一般財団法人 東洋医学研究所附属クリニック
著書『キレイが目覚めるドライヤーお灸』(現代書林)など多数