地球温暖化対策はタイムリミットが近い
さらに、電気をつくるための発電が環境に負荷をかけているという問題も深刻です。日本における二酸化炭素の排出量をみると、もっとも大きなものはエネルギー転換部門の40%です。電気は、止まるかもしれないし、地球を汚しているかもしれないということです。
そして、いま環境問題に関しては、対応しなければならないタイムリミットが近づいていると言われています。
2030年までに、いま出している二酸化炭素を半分にしないといけない。そして、2050年までには、ほぼゼロにしないと地球温暖化の動きが止まらないというのです。
また、気温の上昇が続いていますが、この上昇を2℃までにくい止めないと、もう後戻りができなくなると言われています。
世界的に有名な起業家が民間で宇宙事業に乗り出し、火星に行くと挑戦していますが、彼らは、「地球温暖化を止めることが難しい」という前提にたって、動いているのだと思います。ただ、ワクワクするから、というだけではないのです。地球に住み続けることができない。別の惑星への移住を検討しなければ人類は生き残れないということを考えているわけです。
人間の意識と生活が大きく変わらない限り、環境問題の悪化は止まりません。従来、僕の仕事は一人でも多くの社会起業家を育てることです。そのため、ボーダレス・ジャパンでは自らがリーダーとなっている事業はありません。
ただ、電力に関してだけは、期間限定で、僕自身が陣頭指揮をとることにしました。地球温暖化に関しては、タイムリミットが近づいてきています。人間が変わらないと状況は変わらない。自分が陣頭指揮をとり、少しでも事業の初速を高めたいと思っています。
今日もある金融機関のトップと話していましたが、いまは銀行からの融資でも、二酸化炭素の排出量を制限している企業には融資がつきやすかったり、利子が優遇されるなどの施策がとられているそうです。そのくらい、社会全体として取り組んでいかないと取り返しのつかない問題になる、というところまできているのです。
様々な社会課題がありますが、どの課題にとっても地球環境が土台です。環境問題は誰にとっても、切羽詰まった問題なのです。母なる大地といいますが、地球がおかしくなると、一切の活動ができなくなる。
一方で、気温が上がっても、地球は残ります。気温が5度上がっても生き続ける生物はいるでしょうが、人類は難しい。よく、「地球のために」と言いますが、地球は人類がいなくなっても残ります。実際には、人類のために、環境負荷を減らすことが必要なのです。
19歳の決意
僕が、ソーシャル・ビジネスという道を目指そうと思ったのは、19歳の頃です。その頃、どんなふうに人生の時間を使うのか、悩みました。そういう時期ってありますよね。
僕自身は日本に生まれて、別に食うや食わずの生活をしているわけではない。一方で、アフリカにいる貧しい子どもたちは生まれながらにして、ひもじい思いをしている。自分も、貧しい境遇にある子どもたちも、それぞれ生まれる場所を選んだわけではないのにも関わらず。そう気づいて以来、使命感を持って生きると決めました。
そして、自身の知識が増えていくに従って、自分一人でやるということではなく、社会起業家をたくさん増やすことで、より多くのことに対処できるというふうにつながってきたのです。
ソーシャル・ビジネスを広げていこうとした時に大切なのは、どのような消費生活者がいるかということです。起業家が提供しているのは選択肢であり、その選択肢を受け取ってくれる消費生活者がいなくては始まりません。
そもそも、誰も地球温暖化の状態を知らなければ、自然エネルギーの電力を欲しいという話なんて出ませんよね。そのニーズがなければ、そのニーズをつくるところからしないといけない。そこがたいへんな部分です。
生活者の側から「こんなものが欲しい」と言われれば、その選択肢を提供する起業家というのはどんどん出てきます。だから、まずは、この商品を買ってくれという話ではなく、いまの社会でどのようなことが起きているのかを伝えていくことが大切だと思っています。
とはいえ、全員が、起業家になることはありませんし、ソーシャル・ビジネスに就くわけでもありません。明日は、誰にでもできる社会貢献活動について、お話ししたいと思います。
コロナ禍でも地球温暖化対策のためにできる選択とは【社会起業家、田口一成】>>
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