日本も米国に追随して量的緩和策を実施しましたが、日本の場合には、景気回復に失敗しており、金利の引き上げを試みるどころか、量的緩和策をやめられない状態に陥っています。当然ですが、市中にはマネーが供給され続けており、やはり一部は株式に向かっていると考えられます。

確かに量的緩和策は株高の原因のひとつではありますが、それだけで、今の株価を説明することには少々無理があります。いくら金余りといっても、景気が悪化し、企業業績がボロボロになることは皆が理解しているはずですから、積極的に株式を購入する投資家が大勢いるとは思えません。

筆者は株高の原因は別にあると考えていますが、そのヒントはナスダックの株価に見つけ出すことができます。

ナスダックはハイテク株が多い市場として知られており、アマゾン、マイクロソフト、テスラといったIT関係の超有名企業が名を連ねています。

アマゾンやマイクロソフト、テスラといった企業は、コロナが逆風になるどころか、「新しい生活様式」を体現する企業として、急激に株価が上昇しています。つまり投資家の一部は、コロナによってイノベーションが活発になり、新しい時代が始まると予想しているわけです。

 

当然のことながら、コロナによって業績が悪化する企業が多いのですが、長い目で見た場合、コロナ危機はイノベーションの原動力になるとの判断から、一部の投資家はリスクを取って積極的に株式を購入しています。こうした動きが市場全体に影響を与え、最終的には株価の上昇につながっていると考えられます。

 

あくまで、コロナ後に伸びる企業と衰退する企業の違いがハッキリするということであり、すべての企業の株価が上昇するわけではありません。したがって、市場の動きにつられて株価が上がった銘柄については、今後、大きく下落する可能性がありますから、過度に楽観視するのは危険だと思います。

しかしながら、金余りなのでバブル的に株価が上がっているというのも、あまりにも短絡的な見方であると筆者は考えます。かつてペストが欧州で流行った時には、多くの人が命を落としました。その一方で、ペストの流行は最終的にはルネサンスと近代化の原動力になっています。今回の株高はもしかすると、時代の変化を反映したものなのかもしれません。

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