コロナで仕事はどう変わった?

ジョンズ・ホプキンス大学卒業式のとき。

——素敵な試みですね。たしかに、家族は「家事として何があるのかを知らない問題」はあるかもしれません。いちいち言うのも面倒だから自分で全部やってしまって、一人イライラ、みたいな(苦笑)。ゲーム形式での家事分担、わが家でも早速やってみようと思います。家庭ではポジティブな変化が生まれる可能性があるとのことでしたが、仕事面での変化はいかがでしたか?

 

「個人的には、リモートでも結構いけるなと感じましたね。親や友人など、プライベートで親しい人にはリアルで会いたくなりますが、仕事はリモートでカバーできることが多い気がします。もちろん、不便なこともあるのですが、『それぞれの良さがある。組み合わせていこう』と考えています。

テレワークによって得られた新たな気づきもありました。たとえば、私が現在取締役を務めているYellでは、1 on 1で相談に乗るサービスがあるのですが、ビデオツールは使用せず、音声だけで行うんですね。

すると、対面だと気づけないような間の取り方や息遣いに気づけたりして。今まで対面じゃなければできないと思ってきたことって、意外とそうでもないのかもしれないと感じましたね。

『テレワークのほうがいい』との声も多く上がっているそうですし、そう望んでいる人を全員オフィスワークに戻す、というのは少し無理があるでしょう。今すぐには実現できなくても、今後数年間でより一層テレワークは浸透していくと思います。それによって、家庭と仕事の境目は緩やかになるのではないでしょうか」
 

なぜ黒人の抗議デモに共感を覚えるのか


——少し話は異なりますが、現在米国で起きている人種間の問題「#BlackLivesMatter」を篠田さんはどうご覧になっていますか?

「ジョージ・フロイドさんが亡くなったことへの悲しみはもちろんのこと、その前に起きたセントラルパークでの事件にも大きな衝撃を受けました。この事件は、白人女性が飼い犬にリードをつけずに公園を歩かせていて、リードをつけるよう黒人男性から注意を受けた。

彼女はそれを拒否した上で、『アフリカ系アメリカ人の男が私の命を脅かしている』と警察に通報したというものです。なぜ私がこの事件に衝撃を受けたのかというと、起きた場所も当事者の方々も、私自身が米国留学をしていた際に親しんでいた場所であり、自分と似たような属性の人の間でこうしたことが起きたからです。こんなに身近に、こんなに根深くこの問題はあるんだ……、と思い知りました。

故郷のような、好きな場所が失われていくような感覚と同時に、もしかしたら、自分の知り合いかもしれないような人々の善良さがこうやって損なわれていくのか、という残念さを感じました」
 

——私自身も、あの一連の事件に関してはどうしても他人事とは思えずに、ニュースを見ては涙したりもしていました。

「私達は、女性だからというだけで、警察に捕まりやすいということはないし、女性だからといってコロナウイルスに罹患しやすいような職しか選べないということはありません。

なので、アメリカの黒人の方々が直面している苦しみとは当然異なります。一方で、構造的な問題であるという意味では、日本にある男女間の役割分担の問題と形が似ているのではないでしょうか。だから、マイノリティとされる方々に心を寄せたくなる」
 

——なるほど。だから、どうしても他人事だとは思えないんですね……。他方、「祈るだけや暴力、デモでは何も変えられなかった」との意見も耳にし、じゃあどうしたらいいんだろう、何ができるんだろう、と考えてしまいます。
 

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