みなさん、マンガはお好きですか? マンガ好きな人も、最近はあまり読まないという人も、子どもの頃に一度は触れたことがあるのが「学習まんが」。学校の図書室に唯一置いてあるマンガ本として、読書が苦手な子どもからも人気だったあの存在。マンガ禁止の家庭でも「学習まんが」なら認めてくれた……なんて読者もいるのでは?

この記事では、懐かしの名作から最新の学習まんがまで、「マンガと歴史の深い関係」を、作家・漫画原作者の堀田純司さんが解説します。

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もともとマンガと「歴史」は、とても親しい関係を築いてきました。特に少女マンガでは、80年代に表現として非常な高みに到達した「歴史マンガ」が世に送られています。

たとえば、1980年に「LaLa」で連載が開始された山岸凉子さんの『日出処の天子』は、マンガ史上に輝く名作として名高いです。

舞台は古代の日本。主人公は厩戸皇子。史上「聖徳太子」として有名な人ですね。この人は当時のロイヤルファミリーで、いわゆる「偉人」ですが、この作品では、女性と見まがうほど美しく、危険なほど賢い。しかも謎のサイキックパワーを持ち、実の母でさえも恐れる魔性を帯びた存在して描かれ、読者を驚愕させました。
そんな厩戸皇子に、蘇我氏の御曹司、毛人(後の蝦夷)は魅了され惑わされます。しかしその気持は「愛」ではなかった。やがて思いは逆転し、むしろ皇子が苦しみ、絶望していくことになる。ふたりの関係に、毛人を慕う妹の刀自古や、毛人と愛しあう布都姫がからみ、運命と情念が錯綜していきます。その展開はとても美しくてスリリング。ときに恐ろしい瞬間も迎えます。

また1983年に「mimi」で連載がはじまった里中満智子さんの『天上の虹』も、古代を描いた名作として知られます。
こちらの主人公は女帝、持統天皇。もと中大兄皇子の天智天皇を父に持ち、夫がその弟の天武天皇。持統さんは夫の没後、即位しに天智、天武の政策を完成させていきます。そんな凄い「日本のクイーン」を描いたスケールの大きい作品だけに、完結は21世紀に入ってから。2015年のことでした。

もちろん80年代だけではなく、現代にいたるまで、さまざまな作品が描かれてきています。疫病により男子が激減。女性が社会の中核を担い、歴史上実在の将軍やお局が男女逆転して登場する吉永ふみさんの『大奥』のような作品や、男女問わず人気のある新選組を「長州からの目線」で描いた会田薫さんの『太陽を堕とした男』など、「歴史マンガ」の世界は驚くほど多様に発展してきました。

 

と、ここで「タマゴが先か、ニワトリが先か」のような話ですが、人は「歴史が好きだから、歴史マンガも好き」なのでしょうか? それともマンガがきっかけになって、歴史のおもしろさにハマるのでしょうか?
もちろん、どっちもありなのでしょう。歴史を知っていたら、歴史マンガもディープに楽しい。そしてもちろん、「歴史そのもの」もおもしろい。

そこでオススメなのが、マンガで読む日本史です。マンガの主人公はキャラクター。そして歴史上の人物は「最強にキャラが立った人」ばかり。
だからマンガで歴史を読むとおもしろいし、南北朝の動乱ときの足利尊氏のように「最初は幕府を裏切り、次は後醍醐天皇を裏切って、自分の幕府を開いた後には、弟の直義も見殺しにしてしまいました」というややこしい状況も、マンガで読むとよくわかります。

そのため「歴史学習マンガ」の分野も80年代以来の豊かな伝統があるのですが、このたび講談社から(意外なことに)初の『学習まんが 日本の歴史』全20巻が刊行されました。

鎌倉幕府の創設年が1185年になってしまったように、歴史上の「定説」も変わるもの。こちらのシリーズでは気鋭の歴史学者を監修に迎え、最新の知見にアップデート。

そして凄いのが執筆陣です。『将太の寿司』の寺沢大介さんをはじめ、『遮那王義経』の沢田ひろふみさんが徳川家康を、『ゴッドハンド輝』の山本航暉さんが豊臣秀吉を、と超実力派のマンガ家たちが古代から令和まで、日本の歴史を生き生きと、まるで目の前のドラマのように描いていらっしゃいます。
おもしろいだけでなく、専門家も「読めば受験で早慶8割とれる」と語る、ガチの歴史。この機会に手にとってみてはいかがでしょうか。


試し読みをぜひチェック!
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『日出処の天子』から『大奥』まで。歴史はいつもマンガで学んできた!_img6

 

『講談社 学習まんが 日本の歴史』


古代から令和までカバー!アクティブ・ラーニングに対応した「考える力を養う」新学習指導要領に対応した最新歴史まんが。

1「監修者がすごい!」
監修はベストセラー「応仁の乱」(中公新書)の呉座勇一氏をはじめとした新進気鋭の研究者5名を起用。学習まんがで育った世代が、それぞれ専門の時代を監修。最新の研究を反映した内容です。

2「漫画家がすごい!」
作画は、全員メジャー漫画誌にて連載経験のあるベテラン漫画家が担当。表紙から中身まですべて描き下ろしています(講談社漫画賞作家も4名も執筆!)。小学生から大人まで、読んで面白い「漫画としての面白さ」も追求しています。

3「情報量がすごい!」
漫画総ページ数3720ページ! 学習まんがで一番のページ数です(除く別巻)。漫画には欄外すべてに「マメ知識」欄を作成。その数3600本! 圧倒的な情報量を実現しています。単なる暗記はもちろんのこと「何故、その出来事は起こったのか」「その出来事がどのような影響を及ぼしたか」も詳細に描写。アクティブラーニングを意識した「考える力を養う学習まんが」として、中学から大学まで記述式問題にも十分対応できる内容で受験対策としても使えます!

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堀田 純司(ほった・じゅんじ)

上智大学文学部ドイツ文学科卒業。主な著書に『僕とツンデレとハイデガー』(講談社)、『天才を売る 心と市場をつかまえるマンガ編集者』(KADOKAWA)などがある。編集者として『生協の白石さん』(講談社)、『ガンダムUC証言集』(KADOKAWA)などの書籍を企画、編集している。『まんがでわかる妻のトリセツ』(講談社)ではシナリオを担当。日本漫画家協会員。

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